目的別歳出とは、地方公共団体の歳出を民生費・衛生費・土木費・教育費等の行政サービスの目的ごとに分類した統計区分であり、地方財政状況調査においてどの行政目的にどれだけの財源が投じられているかを示す歳出分析の基本的な軸である。
目的別歳出は、地方公共団体の歳出を「何のために支出するか」という行政目的の側面では分類した区分である。総務省が毎年実施する地方財政状況調査では、目的別歳出として議会費・総務費・民生費・衛生費・労働費・農林水産業費・商工費・土木費・消防費・警察費・教育費・災害復旧費・公債費・諸支出金の14区分が設定されており、各区分への歳出決算額とその構成比が集計・公表される。この分類は住民や議員にとって最も直感的にわかりやすい財源配分の把握手段であり、自治体の施策重点を対外的に説明する際の基礎資料となる。
目的別歳出の分類と性質別歳出(義務的経費・投資的経費・その他の経費)の分類は、地方財政分析における2大軸として並立する。目的別分類では民生費という一つの区分に、義務的経費である生活保護費(扶助費)・投資的経費である福祉施設建設費・物件費である施設管理委託料が混在している。したがって目的別分類だけでは財政の硬直性・削減可能性を判断することはできず、性質別の視点と組み合わせた分析が不可欠である。
類似団体比較による財政分析
地方財政状況調査のデータを基に、人口規模・都市農村区分等で類型化した類似団体グループとの比較が可能である。農林水産業費の比率が類似団体平均を大幅に上回る場合は農業振興・農業基盤整備への重点配分を示し、民生費比率が高い場合は高齢者・障害者福祉施策の充実や子育て支援の手厚さを反映していることが多い。財政担当者は自団体の目的別歳出構成を類似団体平均と毎年度比較し、歳出構造の特徴と経年変化を把握する分析業務によって、行財政改革や中期財政計画の策定に向けた実証的な根拠を積み上げる。
予算体系との対応
目的別歳出の区分は予算の款(かん)・項(こう)・目(もく)体系と対応しており、民生費・土木費等の款の下に具体的な事業費が目として積み上げられる。決算では各款・項ごとの決算額が目的別歳出として集計され、住民への決算報告や議会での決算認定審議の資料として使用される。款を超えて複数の目的に関わる施策(例:高齢者の就業支援は民生費・労働費双方に関係する)は、どの目的別区分に計上するかの判断が必要であり、予算科目の正確な運用が決算分析の精度を左右する。
財政白書・決算カードの活用
総務省が公表する地方財政白書や決算カード(各団体の決算概要)では目的別歳出の構成比が一覧できる。財政担当者は決算カードの目的別歳出構成比を過去5〜10年分並べた時系列表を作成し、民生費比率の上昇・土木費比率の変化等の傾向を把握することで、歳出の構造変化の要因を説明できる材料を整理しておくことが財政報告の実務的な基本作業となる。
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