労働費とは、目的別歳出の区分の一つで、職業訓練・就労支援・雇用促進等の労働施策に充てられる経費の総称であり、都道府県が主要な計上主体となっており、市区町村では相対的に規模が小さいことが多い区分である。
労働費は地方公共団体が実施する雇用・労働関係施策の経費を集めた目的別歳出の区分である。都道府県レベルでは産業人材育成のための職業訓練校(都道府県立職業能力開発校)の運営費・若者就労支援センターの運営費・中高年離職者等の就労支援経費・労働相談窓口の運営費・最低賃金等の労働行政に関連する補助事業費等が計上される。市区町村では規模は小さいが地域の雇用促進・就労困難者支援・障害者就労支援施設への補助等が含まれる。
労働施策の中心的な機関であるハローワーク(公共職業安定所)は国(厚生労働省)の出先機関であるため、ハローワークの運営費は地方公共団体の労働費には計上されない。地方公共団体は国の施策と連携しながら地域の産業特性・雇用課題に応じた独自施策を労働費として実施する形になっている。
産業政策との連携
労働費は商工費(産業振興)・農林水産業費(農業担い手育成)と連携することで、地域産業と人材育成を一体的に進める施策展開が図られる場合がある。介護人材・デジタル人材・農林業担い手等の分野別人材育成プログラムは労働費と民生費・農林水産業費が複合的に関わる横断的な施策として実施される。財政担当者は複数の款にまたがる施策の財源配分調整において、目的別区分の横断性を理解し所管部門間の連携を支援する役割を担う。
雇用情勢と労働費の変動
経済情勢・雇用環境の急激な変化時には労働費が臨時的に増加することがある。リーマンショック後(2008〜2009年)・新型コロナウイルス感染症流行時(2020〜2021年)等には国の補正予算を活用した緊急雇用創出事業・離職者支援事業が実施され、地方公共団体の労働費も臨時的に増加した経緯がある。こうした臨時対応と平時の恒常的な職業訓練・就労支援の経費を区別して管理することが財政分析の実務上の視点として有用である。
若者・女性の就労支援
地方公共団体独自の就労支援施策として若者サポートステーション等への委託・運営補助や、女性の再就職支援・多様な働き方推進のための事業費が労働費に計上される場合がある。国の地方創生関連交付金を活用した移住者向け就労支援・地域企業と人材のマッチング事業等も労働費として計上されるケースが増えている。こうした国の補助が終了した後の継続財源の手当てを事前に計画することが労働費の予算管理上の実務課題となる。
財政担当者は国の雇用対策関連補助事業の動向を把握し、地方独自の就労支援施策との整合を図りながら労働費の予算を編成する実務管理が必要となる。国の補助終了後に地方単独で継続実施する場合の財源確保を予め計画に組み込む対応が重要な課題となる。
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