性質別歳出

読み:せいしつべつさいしゅつ

性質別歳出とは、地方公共団体の歳出を義務的経費・投資的経費・その他の経費という経費の性質・形態によって分類した統計区分であり、財政の硬直性・削減余力・投資能力を分析するための基本的な指標として地方財政状況調査で用いられる。

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性質別歳出は「どのような性格の支出か」という経費の形態に着した分類であり、大きく3つに分かれる。第一の義務的経費は人件費・扶助費公債費からなり、法律や既往の財政決定に基づき削減が困難な硬直的経費である。第二の投資的経費は普通建設事業費・災害復旧費失業対策事業費からなり、社会資本の整備・更新に充てられる。第三のその他の経費は物件費維持補修費補助費等積立金投資及び出資金貸付金繰出金前年度繰上充当金から構成される。この3区分の構成比が財政の体力を示す鏡となる。

義務的経費比率(義務的経費÷歳出総額)が高い団体は、新規施策・施設整備・地域振興事業への財源余地が小さく、財政の弾力性が低下している状態にある。全国平均では義務的経費が歳出の5〜6割を占めることが多く、高齢化・社会保障拡充に伴い扶助費が増加し続けた結果として義務的経費比率が上昇する傾向がある。一方で投資的経費の比率が高い年度は普通建設事業費が多く計上されている年度であり、大規模施設整備や道路改良事業の集中実施を反映している。

経常収支比率との関係

性質別歳出の概念は経常収支比率の計算においても中核をなす。経常収支比率は「経常的な義務的経費・物件費・維持補修費・補助費等・繰出金等に充当した経常一般財源等 ÷ 経常一般財源等」で算出される。分子は主として義務的経費・物件費等の経常的経費であり、分母は地方税普通交付税等の経常的財源である。この比率が高いほど経常経費で財源が消化され、政策的支出に充てられる余地が小さい。財政担当者は性質別の動向を毎年度把握し、義務的経費・投資的経費・その他の変動要因を分析することで中期財政計画の精度を高める基礎データとして活用する。

財政再建局面での役割

財政健全化に取り組む団体では、性質別歳出の視点から歳出削減の余地を探る分析が実施される。義務的経費は削減余地が限られるため、物件費の抑制(委託費の見直し)・投資的経費の延期・繰出金の削減等、その他の経費の見直しが主要な削減対象となる。削減効果の見込みと行政サービス水準への影響を性質別に整理することが、財政健全化計画策定の実務的な基礎作業となる。

類似団体比較と財政体力評価

性質別歳出の構成比は類似団体グループとの比較においても基本的な指標として用いられる。義務的経費比率が類似団体平均より高い団体は財政の自由度が低く、投資的経費の割合が高い団体は施設整備が進行中であることを示す。財政担当者は自団体の性質別構成比の推移と類似団体比較を組み合わせて分析し、財政状況の評価と課題の抽出を行うことが財政分析の実務的な基礎となる。

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