生活保護とは、生活保護法(昭和25年法律第144号)に基づき、生活に困窮するすべての国民に対して最低限度の生活を保障し自立を促す制度であり、生活・住宅・教育・医療・介護・出産・生業・葬祭の8つの扶助で構成される。
憲法第25条の生存権保障を具体化する制度で、補足性の原則(他の制度・親族扶養等を活用してなお不足する場合に保護を行う)と無差別平等の原則(法律の定める要件を満たす限り保護を受ける権利がある)が基本原理だ(生活保護法第2・4条)。保護の決定・実施は都道府県・市・福祉事務所設置町村が行い(第19条)、費用は国3/4・自治体1/4の負担となる(第75条)。
保護の決定手続き
申請者の世帯員全員について資産・収入・扶養義務者の扶養可能性等を調査し(第29条)、最低生活費と収入を比較して保護の要否・程度を決定する。申請から14日以内(特別な事情がある場合は30日以内)に書面で決定通知を行う義務があり(第24条第4項)、申請を却下する場合は理由を附記しなければならない。 保護費の計算は厚生労働大臣が定める保護基準(生活扶助基準・住宅扶助基準等)に基づく。保護基準は毎年改定され、生活扶助基準については一般世帯の消費支出動向との乖離是正(級地区分)が継続的な政策課題となっている。近年は生活困窮者自立支援制度との連携で保護申請前の早期介入を強化する自治体が増えている。
ケースワーカーの業務
保護の実施機関に配置されるケースワーカー(社会福祉主事)は受給世帯を定期的に訪問し、生活状況の把握・就労支援・医療機関への受診同行等の支援を行う(第55条の4等)。標準的な訪問頻度は月1〜2回程度だが、世帯状況に応じた訪問計画を立てる。ケースワーカー1人当たりの標準担当世帯数は80世帯(厚生労働省通知)とされているが、人口集中地域では超過している福祉事務所も多い。
不服申立てと訴訟
保護の申請却下・廃止・変更の処分に不服がある場合は都道府県知事(福祉事務所の設置主体が市区町村の場合は都道府県)に審査請求を行い(第64条・行政不服申立法)、裁決に不服がある場合は再審査請求または取消訴訟を起こすことができる。生活保護をめぐる訴訟は老齢加算廃止・母子加算廃止・保護基準引下げ等で最高裁に至った事例が複数あり、社会保障法の重要な争点となっている。
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