福祉事務所
読み:ふくしじむしょ
福祉事務所とは、社会福祉法に基づき都道府県・市・社会福祉主事設置義務のある市区が設置する現業機関で、生活保護・児童福祉・母子保護・老人福祉・障害者福祉等の業務を担う。
定義と設置根拠
福祉事務所は社会福祉法第14条に基づき都道府県・市・特別区が設置する義務機関であり、町村は設置できる(任意)。都道府県福祉事務所は郡部の生活保護・障害者福祉・母子保護等を管轄し、市・特別区の福祉事務所は市内(区内)の生活保護・児童福祉・障害者福祉・老人福祉・母子保護等の業務を担う。近年は生活困窮者自立支援法に基づく自立相談支援機関の機能を福祉事務所が担う形での運営も推進されており、複合的な困難を抱える相談者の入口窓口として機能している。
職員構成と役割
福祉事務所の職員として査察指導員(スーパーバイザー)・現業員(ケースワーカー)・事務職員が配置される。査察指導員は社会福祉主事の資格を持つ職員が担い、現業員への指導・援助・困難事案の処理等を行う。現業員(ケースワーカー)は生活保護受給者の家庭訪問・調査・扶助決定・自立支援計画の策定・就労支援等を担当する。1ケースワーカーが担当する世帯数は社会福祉法第16条の規定(標準数:80世帯)が設けられているが、保護受給者数が標準数を超えている福祉事務所が全国的に課題となっている。
生活保護実施と法的権限
生活保護の実施機関として福祉事務所の長(所長)が保護の開始・変更・廃止の行政処分を行い、これらは行政不服申立ての対象となる処分として審査請求権が保障されている。要保護者から保護の申請があった場合は14日以内(特例は30日以内)に保護の要否を決定する義務がある(生活保護法第24条)。保護の開始後も適正な保護を継続するための定期的な実態調査(家庭訪問・収入申告の確認等)と稼働能力のある受給者への就労支援が現業員の中核的な業務となる。
自立支援と多機関連携
福祉事務所は生活困窮者の自立支援において、ハローワーク(就労支援)・医療機関(健康問題)・住宅支援・法律支援(多重債務等)・DV支援機関等との多機関連携が不可欠となる。2015年施行の生活困窮者自立支援法は保護受給前の段階での自立相談支援・住居確保給付金・就労準備支援等を体系化しており、福祉事務所と自立相談支援機関の連携による「出口戦略」の強化が生活保護政策の重点課題として位置付けられている。複合的課題を抱える相談者への支援では、チームアプローチ(査察指導員・現業員・就労支援員・社会福祉士等の協働)と地域の社会資源を組み合わせた個別支援計画の策定が自立実現の鍵となる。
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