行政処分とは、行政庁が法令に基づき公権力を一方的に行使して、特定の私人の権利義務を発生・変更・消滅させる行為である。
行政法学では「処分」と略称することが多く、行政手続法第2条第2号がこれを「行政庁の処分その他公権力の行使に当たる行為」と定義する。申請に基づく許可・認可・免許等の授益的処分と、命令・取消し・停止等の侵害的処分(不利益処分)に大別され、後者については行政手続法上の事前手続(聴聞・弁明の機会の付与)の遵守が求められる。 行政処分は公定力・不可争力・不可変更力・執行力などの特殊な法的効力を有しており、違法であっても取り消されるまでは有効として扱われる(公定力)。取消訴訟の出訴期間(処分の知った日から6か月、行政事件訴訟法第14条)が経過すると不可争力が生じ、私人は原則として争えなくなる。
許可・認可・免許の区別
許可は本来禁止されている行為を特定の者に解除する行為(風俗営業許可・飲食店営業許可等)、認可は私人間の行為の効力を完成させる行為(地方鉄道運賃の認可等)、免許は特定の地位・資格を付与する行為(運転免許等)と区別される。自治体では建築確認・開発許可・産業廃棄物処理業許可等が日常的な許可処分の例として挙げられる。 類型の区別は手続上の効果に影響する。認可の場合は私人間の行為が基礎にあるため、認可の取消しと私人間の基礎行為の効力との関係が問題となる。また、許可処分の申請に対して行政庁が遅滞なく処分しない場合は、申請者は義務付け訴訟や申請拒否処分と同視した取消訴訟等の手段を検討できる。
不利益処分と事前手続
行政手続法は不利益処分について、①聴聞(許認可の取消しや資格はく奪等の重大な処分)、②弁明の機会の付与(それ以外の不利益処分)という二段階の事前手続を定める(第13条)。いずれも名あて人の意見陳述の機会を保障するもので、省略が許される場合は同条第2項の列挙事由に限られる。 自治体が行う不利益処分として頻度が高いのは、廃棄物処理法・食品衛生法・建築基準法・宅地建物取引業法等に基づく業務停止・許可取消しである。処分の相手方から聴聞の書面通知の段階で弁護士が介入するケースも増えており、担当職員は根拠法令・処分基準・証拠資料の整理を事前に徹底する必要がある。
取消しと撤回の区別
行政処分の効力を将来に向けて消滅させる行為を撤回、遡及的に消滅させる行為を取消しという。違法な処分に対しては取消し、適法に成立した処分でも事後的な公益上の必要性から効力を失わせる場合は撤回(職権取消しの一種として論じる学説もある)という整理が一般的である。撤回に際しては相手方の信頼保護の観点から補償が問題となることがある。
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