不服申立てとは、行政庁の違法・不当な処分または不作為に対して、当該処分庁や上級行政機関に対して再審査を求める行政上の手続きである。行政不服審査法(平成26年改正・平成28年施行)に基づき、審査請求・再調査の請求・再審査請求の3種類が定められている。
不服申立てのうち最も一般的なものは「審査請求」であり、処分庁または不作為庁の最上級行政庁(自治体では原則として首長)または法令で定める審査庁に対して不服を申し立てる手続きである。審査庁は審理員(弁護士等の資格者または行政法に知見のある職員)を指名し、審理手続きを行ったうえで裁決を行う。審査請求の請求期限は処分があったことを知った日の翌日から3か月以内(行政不服審査法第18条)である。
旧制度との違い(2016年施行の改正のポイント)
平成28年(2016年)施行の改正前は「異議申立て・審査請求・再審査請求」の3種類であったが、改正後は「審査請求」に一本化(審査請求前の手続きとして「再調査の請求」を設ける場合もある)された。審理の公正確保のため、処分に関与した職員が審理員・行政不服審査会の委員になれない仕組みが整備された点が大きな変更点である。また、第三者機関として「行政不服審査会」(国)や「情報公開・個人情報保護審査会」等の設置が整理された。
自治体の実務対応
審査請求を受けた審査庁(原則として首長)は、審理員を指名して事件記録を整理し、申請人・処分庁双方から主張・証拠の提出を受ける。第三者機関(行政不服審査会等)への諮問が義務付けられる類型については、諮問答申を経て裁決を行う。裁決は文書で行い、理由を付記して申請人に送付する。
行政事件訴訟との関係
不服申立ての裁決に不服がある場合、行政事件訴訟(取消訴訟等)を提起できる。一部の法令(例:生活保護法)では、審査請求の裁決後でなければ取消訴訟を提起できない「審査請求前置主義」が採用されている。一般の行政処分に対する取消訴訟は審査請求を経なくても提起できる(自由選択主義)。
審理の流れと裁決
審査請求の審理は、①審理員による審理手続き(申請人・処分庁双方からの主張・証拠の収集)→②第三者機関(行政不服審査会等)への諮問(義務付けられている類型のみ)→③審査庁による裁決という流れで進む。裁決の種類は「棄却(申請を退ける)」「認容(申請を認めて処分の取消し・変更等を命じる)」「却下(不適法な申請を門前払い)」の3種類である。裁決書には理由を付記し、申請人に送付する。
不服申立てに対応する自治体の法務担当・審理員にとっては、行政不服審査法の手続き要件を正確に理解していることが不可欠である。不備のある手続き(審理員指名の遅延・諮問義務の懈怠等)は裁決の取消しにつながる場合があるため、法務担当課の関与が重要となる。なお自治体ごとに「行政不服審査条例」を制定し、手続きの詳細を補充している場合がある。
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