行政不服審査会とは、行政不服審査法に基づき、審査請求の審理の公正性を確保するために設置される第三者機関であり、審査庁の諮問に応じて調査審議を行い答申を行う。
2016年(平成28年)施行の改正行政不服審査法により新設された制度である。国においては総務省に行政不服審査会が設置され(同法第67条)、地方公共団体においては条例に基づいて行政不服審査会等を設置することができる(同法第81条)。審査庁は裁決をする際には原則として当該機関に諮問しなければならず、答申に拘束される義務はないものの、実務上は答申内容を尊重した裁決が行われることがほとんどである。 設置形態は、単独設置(各自治体が独自に設置)と共同設置(複数自治体が共同で設置)の両形式が認められており、規模の小さな市区町村では共同設置により設置コストを抑えている例が多い。
審理員制度との関係
改正法では、審査庁に属する職員の中から処分に関与していない者を審理員として指名し、審理手続(証拠調べ・意見陳述・口頭意見陳述等)を主宰させることが義務付けられた(同法第9条)。審理員は審理の結果を審理員意見書としてまとめ、審査庁に提出する。審査庁は審理員意見書を行政不服審査会に添付して諮問し、答申を踏まえて裁決を行う流れとなる。 審理員の選任基準(処分関係者の除外等)は法律上明記されており、不適切な選任は手続の違法原因となる。組織内の人的関係から完全に独立した審理員を確保することが小規模庁では難しく、広域連合等の共同設置体制がその解決策の一つとなっている。
自治体の設置実態と課題
法施行当初(2016年)は多くの市区町村が行政不服審査会の設置対応を急いだが、弁護士・学識経験者等の委員確保や事務局体制の整備が課題となった。都道府県や政令指定都市の多くは独自の行政不服審査会を設置している一方、中小規模の市区町村では複数自治体の共同設置や法律相談窓口との機能統合による対応が見られる。処理件数が少ない自治体では諮問機会自体が稀であるため、委員の専門知識の維持・向上が継続的な課題となっている。
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