審理員とは、行政不服審査法に基づき、審査請求事件の審理を主宰するために審査庁が指名する職員であり、処分に関与していない者の中から選任される。
2016年(平成28年)施行の改正行政不服審査法(第9条)で新設された制度である。審理員制度の目的は、処分庁と同一の審査庁内において、処分関係者から独立した立場で審理を公正に進める点にある。審理員は処分庁が属する行政庁の職員でも、「審査庁が所管する事務に直接関係しない者」「処分に関与した者でない者」等の除外要件に抵触しなければ、行政内部の職員から選任できる。 個人の秘密に関わる情報やノウハウを持つ行政専門家が審理を進める点でも、外部の司法機関とは異なる迅速さを確保できる仕組みである。
審理員の権限と役割
審理員は審査請求の受理後、審理手続を計画・主宰し、弁明書・反論書の提出期限設定(第29条・第30条)、証拠書類等の提出要求(第33条)、参考人・鑑定人の陳述聴取(第34条)、口頭意見陳述の機会付与(第31条)など、審理に必要な一連の手続を執行する。審理が終結すると、審理員意見書を作成して審査庁に提出する(第42条)。 審理員意見書は審査庁が行政不服審査会に諮問する際の必須添付書類となっており、裁決の合理性を担保する重要文書である。意見書の作成にあたっては、処分の法的根拠・事実関係・相手方の主張に対する評価を明確に記述する必要がある。
選任上の留意事項
法第9条第2項は審理員から除外される者として、処分庁の職員(処分に直接関与した者)、審査請求人の係争事件に利害関係を有する者などを列挙している。小規模自治体では適格者の確保が難しいことから、共同設置の行政不服審査会と連携し、他団体職員を審理員として委嘱する仕組みを採用している例もある。弁護士資格者を外部から任用して審理員とすることも制度上は可能である。
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