法非適用企業とは、地方公営企業法の財務規定を適用せず官庁会計方式(単式簿記・現金主義)で経営を行う地方公営企業であり、下水道事業・簡易水道事業等が主な対象であったが、総務省の推進により法適用への移行が進んでいる。
法非適用企業は地方公営企業法に規定される事業のうち、同法の財務規定(企業会計方式)を適用していない公営企業を指す。官庁会計方式(現金主義・単式簿記)で予算・決算を管理するため、一般会計と同様の会計処理が行われる。収入・支出の現金の動きを記録することに主眼が置かれ、減価償却・引当金の計上・固定資産の帳簿管理等の企業会計的な処理は行わない。下水道事業(法非適用の場合)・簡易水道事業・国民健康保険直営診療施設等が代表的な法非適用企業であった。
法非適用企業では固定資産の実態・老朽化状況・将来更新費用の把握が難しく、施設の長寿命化・計画的更新の財政計画が立てにくいという課題が指摘されてきた。また料金水準の設定根拠となる原価(減価償却費を含む)の算定も困難であり、適正な料金設定の側面では経営の不透明性が問題とされてきた。
法適用移行の推進
総務省は下水道事業・簡易水道事業等について2024年度末(令和6年度末)を目途とした法適用化を推進した。法適用に移行することで資産の実態把握・経営分析の高度化・料金改定の合理的な説明が可能となる。移行作業には固定資産台帳の整備・開始貸借対照表の作成・システムの整備等が必要であり、移行準備期間中は財政担当部門・公営企業担当部門・情報担当部門の連携が不可欠となる。
法非適用のままの事業
地方公営企業法が規定する事業であっても法適用化の対象となっていない事業(観光施設・宅地造成等の任意適用事業で移行しないもの)は法非適用の状態が続く。また国民健康保険事業・後期高齢者医療事業・介護保険事業は地方公営企業法の対象外であり、これらは法非適用の特別会計として運営される(法非適用企業ではなく特別会計)。財政担当者はこの区分を正確に理解して予算・決算の科目区分を適正に管理することが必要となる。
法適用化の財政的効果
官庁会計から企業会計(法適用)への移行によって資産の実態把握が進み、将来の更新費用の見通しが明確になるという財政管理上のメリットがある。また料金原価の算定が可能となり、料金改定の必要性と改定額の根拠を住民・議会に説明しやすくなる。財政担当者は法適用化に伴うシステム整備・帳簿整理等の移行コストと、移行後の経営管理の高度化による財政的な便益を評価して移行の判断を支援する実務的な分析を行うことが必要となる。
財政担当者は法非適用企業の予算・決算状況を確認し、収支の均衡を維持するための一般会計繰出の適正化と法適用化の準備状況を公営企業担当部門と連携して管理する。
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