資金不足比率とは、地方公共団体財政健全化法に基づく公営企業に係る指標で、公営企業の資金不足額を事業の規模(料金収入等)で割った比率であり、経営健全化基準を超えた場合に経営健全化計画の策定が義務付けられる。
資金不足比率は地方公共団体財政健全化法第22条に基づき公営企業ごとに算定される財政指標である。算定式は「資金不足額 ÷ 事業の規模(料金収入等)× 100」であり、資金不足額とは資金剰余・不足の状況を示す指標(流動負債から流動資産を差し引いた額等)から算定される数値である。資金不足が生じている場合にその深刻度を事業規模(料金収入等)に対する比率として示す。
事業ごとの早期健全化基準(資金不足比率が経営健全化基準に相当する水準)はなく、経営健全化基準(20%)を超えた場合に経営健全化計画の策定が義務付けられる一段階の仕組みとなっている。資金不足比率が経営健全化基準以下であれば当面の資金繰りに問題がない状態とされるが、将来的な更新投資・企業債の償還が経営を圧迫するリスクは料金改定・経営効率化の取り組みによって対処する必要がある。
財政健全化判断比率との関係
財政健全化法に基づく4つの財政健全化判断比率(実質赤字比率・連結実質赤字比率・実質公債費比率・将来負担比率)は一般会計等を対象とするのに対し、資金不足比率は公営企業会計を対象とする独立した指標である。法律上は「健全化判断比率等」として4比率と資金不足比率が一体的に規定されており、どちらかが基準を超えた場合に財政健全化計画または経営健全化計画の策定が必要となる制度設計になっている。
財政担当者と公営企業担当者の連携
資金不足比率の算定は公営企業の決算データに基づき公営企業担当者が中心となって行うが、財政健全化法上の報告義務・住民への公表の責任は団体全体の財政管理を担う財政担当部門にも関係する。財政担当者は公営企業担当部門から資金不足比率の算定結果を受け取り、財政健全化法上の手続き(経営健全化基準超の場合の計画策定等)の対応を組織全体で進める調整役としての実務を担う。
算定の実務
資金不足比率の算定に用いる「資金不足額」と「事業の規模」の具体的な計算方法は総務省令・通知で定められており、法適用企業(公営企業法適用)と法非適用企業(法適用前の事業)で異なる算定方法が定められている。財政担当者は公営企業担当者と連携して算定根拠となる決算データ(流動負債・流動資産・料金収入等)を確認し、算定誤りがないかを検証することが財政健全化法の正確な履行に向けた実務的な確認作業となる。
財政担当者は資金不足比率の算定結果を財政健全化法の報告書式にまとめ、住民への公表手続きを適正に実施することで法律上の義務を果たす実務を担う。
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