起案

読み:きあん

起案とは、行政庁内で政策・事務の方針決定や対外的な意思表示のために担当職員が作成する文書(起案文書)と、その文書を決裁権者に提出して意思決定を求めるプロセスをいう。

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自治体の意思決定は原則として起案→合議決裁のプロセスを経ることで文書に記録・保存される。起案文書には件名・起案者・決裁区分・起案理由・具体的な措置内容・根拠法令・施行日等を記載する。電子決裁システムの導入によりペーパーレス化が進んでいるが、書式・記載事は文書管理規程・起案規程で定められており、自治体ごとに異なる。対外文書(通知・許可書等)の場合は起案文書が決裁後に正式文書として発出される。

起案文書の構成と文書管理規程

起案文書の標準的な構成は、①宛先・文書番号欄、②件名、③決裁欄(起案者・係長課長部長・副首長・首長等の順)、④起案の理由・経緯、⑤措置内容、⑥根拠法令・添付資料の各欄で構成される。文書管理規程は起案が必要な行為の範囲(金額基準・政策重要度等)を定めており、軽微な業務連絡や定例的な支出命令は起案なしで処理できる場合もある。 公文書管理条例(令和元年度以降、主要自治体で続々と制定)を制定した自治体では、決裁済みの起案文書が「行政文書」として保存期限・廃棄基準・公開対象の対象となるため、記載の正確性と保存要件への対応が法的義務となっている。重要政策の起案では、特定歴史公文書としての保存・移管の対象になる場合もあり、起案担当者は文書管理担当と事前に連携しなければならない。

電子決裁の普及と課題

デジタル庁の「自治体DX推進計画」(令和3年)は電子決裁の導入・普及を重点施策に位置づけており、令和4年度末時点で都道府県・政令市の電子決裁導入率は90%を超えている。電子決裁システムは起案・合議・決裁のワークフローをシステム上で管理し、決裁履歴・期限管理・文書検索・保存を一元化できる。一方、市区町村の中小規模自治体では紙起案が残存しており、段階的なペーパーレス化が課題となっている。 電子決裁システムにより起案・合議・決裁の所要日数が可視化され、ボトルネック(合議先での滞留等)の特定が容易になる利点がある。一方、電子系・紙系の混在期には電子決裁文書と紙文書の整合管理が課題で、職員研修と規程改正の両面からの対応が必要だ。デジタル庁「地方公共団体の電子決裁移行に係るガイドライン」(令和3年)は移行手順・帳票設計の標準例を示している。

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