供覧とは、文書・情報の内容を関係者・上位者に閲覧に供する行為であり、決裁とは異なって意思決定を求めない。情報の共有・確認を目的として行われ、決裁ルートではなく供覧ルートで文書が回付される。
庁内文書の処理には「決裁」と「供覧」の2種類がある。決裁は特定の行為・支出・計画等について組織の意思決定を求める手続きであり、決裁権者の押印・承認が必要である。これに対して供覧は、意思決定の必要なく情報を共有・確認してもらう手続きであり、閲覧後に確認のサインを求めることはあっても、内容への承認を求めるわけではない。庁内では「供覧のみ」「決裁不要・供覧」等の表記で文書の性格を明示する場合がある。
供覧の典型的な場面
①外部から受領した通知・文書(他省庁・都道府県からの通知等)を上位者・関係課に回付する場合。②完了した事業の報告書・結果報告を関係部署に情報提供する場合。③決裁後に執行状況を上位者に報告する場合。④会議・審議会の議事録・報告書を関係者に回付する場合。電子決裁システムでは「供覧ルート」として配信先を設定する機能が設けられることが多い。紙の場合は「供覧済」のスタンプや確認欄への押印・サインで記録する。
決裁との区別の実務上の重要性
文書の性格が「供覧か決裁か」を誤ると、意思決定が形成されない状態で事業が進むリスクがある。支出・契約・規則の制定・改廃等は必ず決裁を要し、供覧による情報共有で代替することはできない。起案者は文書の目的に応じて「決裁文書」か「供覧文書」かを明確に区分して起案する。また、決裁後の執行過程で発生した変更や追加情報は、別途供覧文書として上位者に報告するのが通例である。
電子決裁システムでの扱い
電子決裁の導入に伴い、供覧もシステム上で処理されるようになっている。配信先を指定してシステム上で回付し、閲覧記録がログとして保存される。紙の時代と異なり、誰が・いつ閲覧したかの記録が自動的に残るため、情報伝達の確認が容易になる。未読の供覧文書がある職員にはシステムから通知が届く仕組みを持つ製品もある。
供覧の記録と保存
行政文書として管理すべき供覧文書は、文書保存規則に基づいて一定期間保存する義務がある。電子決裁システムを導入している自治体では、供覧の閲覧記録・配信履歴が自動的にログとして残り、事後的に確認できる。紙の供覧文書の場合は、供覧済みの日付・確認者氏名を台帳等に記録して管理する。
供覧と回覧の違い
「回覧」は主として庁内連絡事項や通知を順次回して情報を周知する行為を指し、「供覧」より広義に使われることがある。一方「供覧」は上位者・関係者への閲覧提供という意味合いが強く、特に決裁権者が情報を把握するための手続きとして機能する。自治体の文書管理規則では「供覧」と「回覧」を区別して定義している場合と、一体的に規定している場合とがある。
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