根回し

読み:ねまわし

根回しとは、会議・議会・上位機関等での正式な意思決定の前に、関係者・利害関係者に対して非公式に内容を説明し理解・同意を求める事前調整行為であり、自治体職員が日常的に行う庁内・対外調整の実践だ。

この説明はいかがですか?

植木の移植前に根を切って養生する農業・園芸の技術から転用された語で、意思決定を円滑にするための事前の人間関係的調整を意味する。起案合議決裁の公式な文書フローに先立ち、反対意見・修正要求を把握・調整して「サプライズ」なく手続きを進めることが根回しの実質的な機能だ。会議の場での反対意見を最小化し、決定の予見可能性を高める効果がある。

根回しの対象と手順

主な根回し先は①庁内の関係部署(施策の影響を受ける課・財政課・法規担当課・人事課等)、②議会(議長・各会派代表・委員会委員長等。いわゆる「議員レク」)、③上位機関(都道府県・国の担当部署への事前協議)、④外部の利害関係者(地元関係団体・事業者・住民代表等)だ。 手順は①実施したい施策・条例改正等の的・内容・スケジュール・期待する協力事を整理した説明資料の作成→②相手方への個別面談(または電話・メール確認)→③懸念点・反対意見の把握→④内容の修正または反論の準備→⑤正式な会議・議会提案という流れが標準的だ。根回しの段階で把握した反対意見を踏まえて計画を修正することが、後の実施をスムーズにする最大の効果だ。

「根回し」の文化的背景

日本の組織文化における「合意形成重視・全員賛成型意思決定」の背景から根回しが重要視されてきたが、一方で根回し不十分による会議での混乱・修正や、逆に重要な異論が根回し段階で封じられる弊害も指摘される。「根回しで合意済みのことを公式会議で覆せない」という規範意識が強い組織では、形骸化した会議(追認機関化)の問題が生じやすい。

公文書管理との関係

根回しは非公式行為のため原則として文書記録が残らないが、令和2年以降の公文書管理条例制定の流れで「打合せ記録」の作成義務を設ける自治体が増えている。重要な政策判断に至った経緯として根回し時の確認事項を打合せ記録として残すことが、情報公開行政不服申立て対応の観点から実務上の標準となりつつある。

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