AI活用とは、機械学習・深層学習等の人工知能技術を行政業務の効率化・高度化に応用する取り組みであり、自治体では窓口対応・文書処理・インフラ管理等での導入が進む。
自治体のAI活用は総務省「自治体DX推進計画」(令和2年12月策定)・デジタル庁の「デジタル社会の実現に向けた重点計画」が政策的な推進根拠となっている。令和5年度以降、生成AI(Large Language Model)の急速な普及を受けて、自治体向けの生成AI活用ガイドライン(総務省令和5年7月公表・改訂版令和6年公表)が策定され、文書要約・議事録自動生成・庁内問い合わせ対応チャットボット・条例案の起案支援等への適用が急増している。AI導入にあたって自治体が判断すべき主要課題は、①個人情報・機密情報の入力制限(外部AIサービスへの情報送信リスク)、②AIの出力に対する職員による確認義務(ハルシネーション対策)、③調達・委託仕様書の作成(性能・精度・説明責任の規定)の3点である。一般社団法人デジタル行財政改革会議(内閣官房)が実証事業を通じて成功事例を整理しており、自治体は事例集を参照して先行実装の知見を活用できる。
導入実績のある業務領域
令和5〜6年度にかけて自治体での導入が報告された主な業務領域は、①生成AIによる文書起案・要約支援(庁内文書の下書き生成)、②AIチャットボットによる住民問い合わせ対応(24時間FAQ応答)、③AI-OCRによる申請書類のデータ入力自動化、④画像解析AIによる道路損傷・河川水位の検知、⑤保育所・学童保育のAI選考(複雑な条件付きマッチング処理の効率化)である。保育所AI選考は横浜市・さいたま市等で先行実績があり、待機児童対策として導入を検討する自治体が増えている。
倫理・リスク管理と職員研修
AI活用の倫理的課題として、自動化バイアス(AI出力を無批判に採用するリスク)・説明責任(行政処分の根拠にAI出力を使用する場合の透明性確保)・著作権(生成AIの出力物の権利関係)等が挙げられる。OECDのAI原則・内閣府の人間中心のAI社会原則(平成31年策定)が倫理的枠組みを提供しており、自治体のAI利用規程策定の参照文書となっている。職員研修では、AIの特性(確率的な推論であり事実の保証ではないこと)・適切な使い方(出力を必ず検証すること)・禁止事項(個人情報・機密情報の入力禁止等)を全職員が理解することを目標とする。
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