特例市とは、2015年(平成27年)4月に廃止された地方自治法上の大都市制度の区分であり、人口20万人以上の市に都道府県の一部事務を移譲するために設けられていたが、中核市の要件緩和に伴い制度が廃止された。
特例市制度は、2000年(平成12年)の地方分権一括法の施行に伴い地方自治法に設けられた大都市制度の一区分であり、人口20万人以上の市が政令で指定を受けることで都道府県から一定の事務が移譲される制度として設けられた。当時の中核市(人口30万人以上)と一般の市の中間に位置する区分として機能し、都市計画・環境・福祉分野の一部事務が移譲されていた。制度の最盛期には全国で40以上の市が特例市に指定されていた。
2015年(平成27年)4月、中核市の人口要件が30万人以上から20万人以上に緩和されたことに伴い、特例市制度は廃止された。特例市と中核市の人口要件が同一の20万人以上となったため、特例市として別に存在する意義がなくなったことが廃止の直接の理由である。廃止時点で特例市に指定されていた市は、中核市への移行が済んでいなかった場合、施行時特例市として経過措置の区分に移行する仕組みとなった。施行時特例市は特例市として有していた権能を維持しつつ、中核市への移行を目指す形となる。
特例市が担っていた事務
特例市に移譲されていた事務の代表的なものには、屋外広告物に関する条例の制定・管理、一定規模の開発許可、自然公園法に係る事務、環境影響評価法に基づく事務等がある。中核市に比べて移譲事務の範囲は限定的であったが、一般の市より広い権能を持つ中間的な区分として地方分権の促進に役割を果たした。
廃止後の経緯と施行時特例市
廃止後、特例市から中核市へ移行した都市と施行時特例市として留まる都市とに分かれた。施行時特例市は中核市への移行に向けた準備として、職員の専門能力の育成・財政基盤の強化・保健所設置の検討等を進めることが期待されている。特例市から中核市への移行を果たした都市は、中核市の権能を全面的に行使できる自治体として再出発する。特例市制度は地方分権の段階的な推進を示す制度的な試みであったが、中核市との区分が実質的に意味を持たなくなったことで廃止に至った。特例市の廃止と中核市要件の緩和は一体の改革として実施されており、全国の中規模都市に中核市移行の機会を広げる政策判断として位置付けられる。特例市として積み重ねた行政経験は、中核市への移行後も政策遂行の基盤として活用される。大都市制度の整理が地方自治の効率化に寄与した制度改革の一例となっている。特例市制度を経験した都市の職員は、制度移行ごとに変化する事務権限の把握と住民サービスへの影響の説明を行ってきており、制度変遷の理解が実務知識の基礎となる。
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