施行時特例市とは、2015年(平成27年)4月の特例市制度廃止時点において特例市に指定されていた市のうち、中核市への移行が未了であった市に適用される経過措置上の区分であり、特例市として有していた権能を引き続き行使できるものである。
施行時特例市は、2015年(平成27年)4月の地方自治法改正施行時に特例市の指定を受けていた市のうち、中核市の要件(人口20万人以上)を満たしながら中核市への移行申請が未了であった市に対して適用された経過措置上の区分である。廃止された特例市制度の代わりに設けられ、対象市が中核市に移行するまでの間、特例市として行使していた事務権限を継続して行使できる仕組みとなっている。
施行時特例市に指定されている市は、中核市への移行を進めることが期待されており、人口要件・行政体制・財政基盤等が整い次第、都道府県との協議を経て中核市への移行申請を行う手順が一般的である。中核市に移行することで施行時特例市の区分は終了し、中核市として広範な事務権限を担う自治体として再出発することになる。移行に際しては保健所の設置が最も大きな制度的変化であり、専門職員の確保・施設整備・運営費の確保が移行準備の主要課題となる。
中核市との違い
施行時特例市が行使できる事務の範囲は特例市の水準にとどまり、中核市が行使できる保健所設置等の事務については引き続き都道府県が担当する。この点が施行時特例市と中核市の実質的な違いであり、施行時特例市が中核市に移行した段階で、これらの事務も市に移譲される。住民サービスの面では、保健所機能が都道府県所管から市所管に切り替わることで、地域の実情に合った保健施策の実施が可能となる。
経過措置の位置付け
施行時特例市は恒久的な大都市制度の区分ではなく、特例市制度廃止に伴う経過措置として設けられた時限的な区分である。施行時特例市の数は中核市への移行が進むにつれて減少しており、最終的には指定都市・中核市・その他の市という区分に集約される方向で制度の整理が進んでいる。施行時特例市として特例市時代から継続している行政サービスは、中核市への移行後も途切れることなく継続されることが制度設計上の前提となっている。移行計画の策定と実行においては、都道府県との事務引継ぎのスケジュール調整・職員の配置計画・財政計画の三者が整合していることが前提となる。施行時特例市の状態にある間も、中核市に準じた行政サービスの提供水準を維持しながら移行準備を進めることが住民への継続的なサービス保障として求められる形となっている。施行時特例市であることの制度上の認知度は一般住民には低く、自治体が対外的な説明においてその位置付けを明確にすることが情報提供の基本となる。
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