老人福祉法

読み:ろうじんふくしほう

老人福祉法とは、老人の福祉に関する原理を明らかにし、老人に対し、その心身の健康の保持及び生活の安定のために必要な措置を講じ、老人の福祉を図ることを目的とする法律をいう。

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制定経緯と位置づけ

老人福祉法(昭和38年法律第133号)は高齢化が進む中で老人の福祉の増進を体系的に図ることを的として制定された。2000年の介護保険制度施行以降、要介護者への施設サービスの提供は介護保険法が主な根拠となっており、老人福祉法の位置付けは特別養護老人ホーム・老人デイサービスセンター・老人短期入所施設等の設置認可・運営基準の根拠法、および介護保険制度の給付対象外となる措置(やむを得ない事由による入所措置等)の根拠法として機能している。

老人福祉施設の種類と設置認可

老人福祉法が規定する施設として、特別養護老人ホーム(介護老人福祉施設)・養護老人ホーム・軽費老人ホーム(ケアハウス)・老人デイサービスセンター・老人短期入所施設・老人介護支援センター等がある。これらの施設の設置は都道府県知事・市長等の認可(特別養護老人ホームは都道府県知事の認可)を要し、設備基準・職員配置基準等の基準適合が求められる。市区町村が直営または社会福祉法人に設置を委嘱する公的施設として地域の老人福祉の基盤を担っている。

措置制度と介護保険

老人福祉法の措置制度は要介護者が自らサービスを選択する介護保険制度の「契約」と対比される「行政処分」である。介護保険施行後も認知症等により自己判断能力が著しく低下した者・やむを得ない事由で介護保険サービスの利用が困難な者に対しては老人福祉法の措置が適用される。措置費用は市区町村が負担し(国・都道府県の補助あり)、被措置者から費用徴収(本人・扶養義務者からの応能負担)が行われる。措置権の適正な行使は虐待事案等において入所者の身体・生命を守る緊急手段として機能する。

高齢者虐待防止との関係

高齢者虐待の防止、高齢者の養護者に対する支援等に関する法律(高齢者虐待防止法)は老人福祉法の特別法として、家庭内での高齢者虐待への介入・施設内虐待の調査・通報制度を規定する。市区町村は高齢者虐待の通報を受けた場合に事実確認・必要な措置(居室分離・老人福祉法に基づく措置入所等)を行う義務を負い、地域包括支援センター・介護保険施設・医療機関・警察との連携体制の整備が重要な実務課題となっている。虐待対応においては本人の意思確認・養護者支援・ケアマネジャーを含む多職種連携が虐待の早期解決と再発防止の観点から不可欠であり、担当職員の研修・事例検討の継続的な実施が組織的な対応力の向上につながる。

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