契約書とは、地方自治法第234条第5項に基づき発注機関と受注者が契約締結時に作成する文書であり、請負・委任・売買等の種別・当事者・目的・金額・履行期限・違約条件等を記載した法的文書である。
公共工事では国土交通省が「公共工事標準請負契約約款」を定めており、都道府県・市区町村はこれを準用した自治体版請負契約書を使用することが一般的である。業務委託には「業務委託契約書」、物品購入には「物品売買契約書」等、調達種別ごとに様式が異なる。各様式は自治体の会計規則・契約規則に規定されており、様式外の条項を設ける場合は特記条項として契約書に追記する。
工事請負契約書の必須記載事項
工事請負契約書の記載事項は①工事名・工事場所、②請負金額(内訳を別紙工事費内訳書とする)、③工期(着工日・完成期日)、④発注者・受注者の氏名(商号)・住所、⑤設計図書の種類・相互関係、⑥前払金・部分払の条件、⑦瑕疵担保期間(工種に応じた期間)、⑧検査の時期・方法、⑨履行遅滞の損害金率(年3〜5%が多い)である。契約書の内容が設計図書と矛盾する場合は発注機関が解釈を確定させる義務がある。
電子契約の普及
令和3年(2021年)のデジタル社会形成基本法の制定に伴う地方自治法の改正を受けて、地方自治体における書面・押印を前提とした規定が見直された。電子契約では契約書のPDF化・電子署名の付与・システム上での管理・保存が行われ、印紙税が不要になる利点もある。電子契約システムの活用状況は自治体規模により異なり、大都市圏を中心に普及が進んでいる。
契約書の保存管理
締結した契約書は原則として工事・業務の完成後一定期間(自治体によって5〜10年)保存する義務がある。情報公開請求・会計監査・議会審査の対象となるため、保存状況の管理は担当課の重要な業務である。保存媒体(紙・電子)の統一や保存場所の明確化が書類管理の基本となる。変更契約書は当初契約書と一体で管理し、変更の経緯が後日確認できるよう整理する。契約書の様式や条項を一方的に変更することは契約法理上できないため、特記条項の追加は双方の合意を要する変更契約として処理する。電子契約システムでは契約書の検索・閲覧が容易であるため、部署横断的な情報共有にも活用できる利点がある。契約書の内容を担当者が正確に把握した上で監督業務に臨むことが履行管理の基本となる。契約書に定めた事項と異なる履行が判明した場合は速やかに受注者に是正を求め、その経緯を記録する。契約書の保存・管理の状況は内部監査の確認対象となるため、担当者は規程どおりの管理体制を維持する。変更契約書も含めた一式の書類管理が担当者の実務上の義務となる。
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