前払金とは、工事請負契約において工事着工前に発注者が請負代金の一部を前払いする制度である。受注者の着工前資金調達を支え、公共工事の円滑な施工に寄与する。
公共工事では資材調達・労働者確保等の初期費用が大きいため、受注者が工事着工前に発注者から請負代金の一部を前払いとして受け取ることができる。地方自治法施行令第163条は前払金の支払を「工事の完成前」に行うことができる場合として規定し、公共工事の前払金保証事業に関する法律(昭和27年法律第184号)に基づく保証事業会社(ゼネコン保証・東日本・関西・西日本の3社)の保証書の提出を前払金交付の条件とする。前払金の額は公共工事標準請負契約約款第34条に基づき請負代金の40%以内が標準であり、道路・河川・官庁施設等の工事については50%以内まで認められる場合がある。受注者は前払金を工事以外の用途に流用することが禁止されており(前払金保証事業に関する法律施行令第3条)、工事材料の購入・外注費・経費等の工事目的に限定した使途が義務付けられる。中間払い(中間前払金)は工事の進捗が一定段階(出来高50%以上等)に達した時点で追加前払いを行う制度であり、自治体が約款・契約条件で規定することで適用できる。
前払金の請求手続きと保証書管理
前払金の請求は受注者が保証証書(保証事業会社が発行)を発注者に提出することから始まる。発注者(担当課)は保証書の真正性・保証金額・保証期間が契約内容と一致しているかを確認した上で前払金支払の決裁を行い、会計課(出納担当)に支出命令を行う。保証期間は工事の完成予定日を超える期間が設定されている必要があり、工期延長が生じた場合は保証期間の延長手続きを受注者が行う。保証書の有効期間内に工事が完成しない場合、保証会社への連絡と期間延長の対応が担当課の業務となる。
前払金と出来高払いの使い分け
工事代金の支払方法は前払金と出来高払い(中間払い・竣工払い)の組み合わせで設計される。小規模工事では前払金なし・竣工払いのみとする例もある。受注者から前払金の増額要求や早期支払の要求がある場合、契約条件と前払金保証事業法の定める上限の範囲内で対応可否を判断する。前払金の返還は工事完成後の精算において最終払い(完成払い)と相殺する形で処理されるため、完成払い前に前払金の精算計算を行う手順を担当課が把握しておく必要がある。
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