地域包括ケアシステムとは、高齢者が住み慣れた地域で自立した生活を継続できるよう、医療・介護・予防・住まい・生活支援を一体的に提供する体制であり、市区町村単位での構築が介護保険法に基づき求められている。
「地域包括ケアシステム」の概念は2003年の高齢者介護研究会報告書「2015年の高齢者介護」で提唱され、第5期介護保険事業計画(2012〜2014年度)から国の政策目標として明示的に位置付けられた。2025年(団塊の世代が後期高齢者になる年)を当初の構築目標年次としてきたが、現在は2040年を見据えた深化・推進が政策課題となっている。住まい・医療・介護・予防・生活支援が一体的に提供される体制を、「植木鉢」モデルとして5つの要素の相互連携で図式化したものが広く用いられている。
5つの構成要素
「医療・介護・予防・住まい・生活支援」の5要素が有機的に連携することが理念とされる。①医療:急性期病院・在宅療養支援診療所・訪問看護ステーション。②介護:居宅サービス・施設サービス・地域密着型サービス。③予防:介護予防・日常生活支援総合事業。④住まい:サービス付き高齢者向け住宅等。⑤生活支援:NPO・ボランティア・民間企業による配食・移送・見守り等。
市区町村の役割
市区町村は①地域包括支援センターの設置・運営(または委託)、②介護保険事業計画における地域包括ケアの方向性・目標の設定、③生活支援体制整備事業(生活支援コーディネーターの配置・協議体の設置)を担う。地域の実情(高齢化率・医療資源・地理的条件)に応じた体制設計が前提となる。
地域ケア会議
地域包括ケアシステムの推進に際し、「地域ケア会議」が重要な役割を担う。地域ケア会議は個別の困難ケース(自立支援が難しい利用者等)の検討と、地域課題の把握・対策立案の両機能を持つ。市区町村・地域包括支援センター・医療・介護・生活支援の各関係者が参加して定期的に開催される。
認知症施策との連動
2023年に施行された「共生社会の実現を推進するための認知症基本法」では、地域包括ケアシステムの深化の趣旨から認知症の人が住み慣れた地域で生活を継続できる体制の整備が明記された。市区町村は認知症地域支援推進員の配置・認知症サポーターの養成・チームオレンジの組成等を担い、地域包括支援センターと連携して認知症の人と家族への支援体制を整備する。
在宅医療・介護連携推進事業は地域包括ケアシステムの重要な柱の一つであり、市区町村が主体となって医師会・訪問看護ステーション等と連携して在宅医療体制を整備する事業である。かかりつけ医と介護事業者の情報共有・連携促進のための多職種連携研修会の開催も市区町村の役割として位置付けられている。
ご意見箱(匿名で投稿できます)