DX(デジタルトランスフォーメーション)とは、デジタル技術を活用してサービス・業務プロセス・組織・企業文化・ビジネスモデルを変革し、競争上の優位性を確立することを意味し、行政分野では住民サービスの質向上と業務効率化の両立を目指す取組みである。
スウェーデンのウメオ大学のエリック・ストルターマン教授が2004年に提唱した概念で、デジタル技術の浸透が人々の生活を根底から変革する現象を指す。行政分野では2020年9月に設置されたデジタル庁(デジタル社会形成整備法・デジタル庁設置法に基づく)が「デジタル社会の形成」を推進し、「デジタル・ガバメント推進標準ガイドライン」等でDXの考え方・手法を示している。
行政DXの重点領域
総務省「自治体DX推進計画(令和2年12月策定・令和4年9月改訂)」は①マイナンバーカードの普及促進、②行政手続きのオンライン化、③AI・RPAの利用促進、④テレワークの推進、⑤セキュリティ対策の徹底、⑥デジタル基盤の整備(ガバメントクラウド等)を重点取組事項として挙げる。市区町村は独自の「自治体DX推進計画」を策定し、個別施策の工程管理を行うことが推奨されている。 「サービスの変革」を伴わないデジタル化(既存業務をそのままシステム化するだけ)は「DXではなくデジタイゼーション(Digitization)」と区別され、業務プロセスの抜本的な再設計(BPR=Business Process Re-engineering)を経た変革こそがDXの本質とされる。
人材と組織
行政DXの推進には情報システムの構築・運用スキルだけでなく、業務プロセス改革の推進力・利用者目線でのサービス設計能力が求められる。デジタル人材の育成・確保が全国的な課題で、民間IT企業からの人材登用・CIO(最高情報責任者)補佐官の任用・職員のデジタルリテラシー研修が各自治体で進んでいる。庁内のICT部門(情報政策課等)と各業務部門が連携して推進体制を構築することが成功の鍵となる。
ガバメントクラウドとの関係
自治体情報システムの標準化・共通化(地方公共団体情報システムの標準化に関する法律。令和3年)とガバメントクラウド活用は、行政DXの基盤整備として令和7年度末を目標に全国一斉に移行が進んでいる。標準化・共通化によりベンダーロックインの解消とシステム費用の削減が期待されるが、移行コスト・移行期間の業務影響が自治体の実務課題となっている。
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