入札の取消しとは、発注機関が入札公告後に仕様変更・予算未成立・設計の誤り・談合の疑い等を理由として入札手続き全体を中止・無効とする行政上の判断であり、入札参加者への通知義務と保証金の返還義務を伴う。
入札公告は発注機関の意思表示であるが、一定の事由に該当する場合は取り消すことが認められている。取消し事由は大きく①仕様・設計の重大な誤りの発見、②予算の減額・削除、③不正入札(談合等)の事前察知、④緊急工事への切り替え等に分類される。取消しは発注機関の裁量行為であり、参加者への損害賠償義務は原則として生じないが、取消し理由は書面で明示する。
通知の手続き
取消しを決定した場合は、入札参加資格確認申請を受理した全業者および入札説明書交付を行った全業者に対して、取消しの事実・理由・今後の方針を書面または電子メールで速やかに通知する。自治体ウェブサイトの入札情報掲示板にも取消し公表を行う。既に納付された入札保証金は全額返還され、設計図書の交付費用が生じていた場合はその扱いを別途規定する必要がある。通知が遅れると業者側の準備コストが無駄になるため、決定後は速やかな対応が担当者の実務となる。
再公告・随意契約への移行
取消し後の対応は①同一条件で再公告、②仕様変更後に再公告、③随意契約への切り替え、④発注を見送る、のいずれかとなる。随意契約への切り替えは地方自治法施行令第167条の2(競争入札に付しても落札者がいない場合等)の規定による場合が多い。再公告する場合は取消しの原因となった問題点を解消した上で改めて公告する必要があり、設計の誤りが原因であれば設計の修正を完了してから再発出する。
取消しの記録管理
取消し処分は会計上の事故に準じる記録として管理し、取消し理由・通知先・今後の対応方針を稟議書等に記録する。議会への報告義務が生じる場合(大型工事の中断等)は、所管委員会への報告を会計担当と調整して行う必要がある。取消しが連続する場合は発注計画・設計体制そのものの見直しが必要であり、担当部署の改善計画の策定につながる。取消し実績は次年度以降の入札計画を改善する際の参考データとして管理する。取消し原因が談合の疑いによる場合は公正取引委員会・警察等の機関への報告・相談が必要となる場合もあり、法務担当部署との連携が重要となる。取消しの判断は長または委任を受けた職員の責任で行われ、稟議書・決裁書で内部決定の記録を残す。取消し経験を踏まえた入札手続きマニュアルの見直しと再発防止策の検討が担当部署の継続的な課題となる。取消しに至った経緯の文書化は後年度の類似案件における意思決定の参考となる。
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