訓令とは、行政機関の長が所管の機関・職員に対して職務遂行の基準・方針・手順を示す行政組織内部の命令であり、対外的な法的効力は持たないが職員を法的に拘束する。
行政機関内部の意思伝達手段で、上位機関が下位機関の職員に対して一般的な職務処理基準を示す命令だ(国家行政組織法第14条第2項・地方自治法第154条)。条例・規則のように議会の議決や告示・公布を要せず、首長・各部局長が定めて内部的に通知することで効力が生ずる。住民や外部に直接の法的効力を持たないため、訓令に違反した職員の行為の対外的効力は別途判断される。
訓令の形式と種類
訓令の形式は①文書(訓令書)と②口頭がある。文書訓令は条例・規則の委任を受けて詳細な事務処理基準を定めるものが多く、「○○事務取扱要領」「○○処理基準」等の名称で制定される。口頭訓令(口頭指示)は日常的な業務指示として行われるが、重要な内容は文書化して記録に残すことが組織的な業務管理の観点から推奨される。 自治体の法令体系の順位は①条例→②規則→③訓令(通達・要綱等)という位置づけで、訓令(要綱等を含む)が条例・規則に反する内容を定めることはできない。住民に直接権利義務を生じさせる事項(補助金の交付基準等)を訓令(要綱)だけで定めることは「要綱行政」として法的根拠の薄さが問題視されることがある。
通達・通知との違い
訓令(国では「訓令」・自治体では「通達」「要綱」「処理基準」「内規」等とも呼ばれる)と「通知」の違いは、訓令が命令的性格(職員を拘束する規範)であるのに対し、通知は情報提供・解釈の示達・参考情報の伝達という性格が強い点だ。国の省庁から自治体への「通知」(技術的助言・通達等)は訓令ではなく行政指導の一形態として扱われ(地方自治法第245条の4)、自治体はその内容に拘束されない。
要綱行政の問題
補助金交付要綱・行政指導指針等の「要綱」は訓令の一形態として広く活用されているが、住民への効力(補助金交付・不交付の基準)を実質的に持ちながら法的根拠が条例・規則にない場合は要綱行政の問題として批判される。要綱に基づく処分的行為への不服申立てで法的根拠の有無が争点となるケースもあり、重要な行政処分の根拠は条例・規則レベルで明示することが法的安定性の観点から重要だ。
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