行政指導

読み:ぎょうせいしどう

行政指導とは、行政手続法第2条第6号に定める行政作用で、行政機関が相手方に特定の行為または不作為を求める指導・勧告・助言等のうち、法的拘束力を持つ処分に当たらないものである。

この説明はいかがですか?

相手方の任意の協力に依拠する点が処分・命令との根本的な違いであり、応じない場合でも行政機関は不利益取扱いを行えない(行政手続法第32条第2)。自治体では建築確認前の事前協議、廃棄物不適正処理への改善指導、公害・騒音の事業者指導などに頻繁に使われる。処分権限を背景にした「事実上の強制」に転化しないよう、任意性の確保が実務上の恒常的な論点になる。

法的性質と一般原則

行政手続法第2条第6号は行政指導を「行政機関がその任務または所掌事務の範囲内において一定の行政的を実現するため特定の者に一定の作為または不作為を求める指導、勧告、助言その他の行為であって処分に当たらないもの」と定義する。処分と異なり、原則として取消訴訟の対象とならず、根拠法令なしに行使できる反面、相手方が拒否の意思を示した場合は継続できない(第33条・第34条)。 行政手続法が適用される「国の機関」以外の行政機関には地方自治体も含まれ、自治体独自条例でも法第2条第6号と同義の行政指導規定を置く例がある。

行政手続法第32〜36条の規律

相手方が書面交付を求めた場合の交付義務(第35条第2項)、不利益取扱いの禁止(第32条第2項)が明文化されている。2014年改正(平成26年法律第70号)で第36条の3が新設され、相手方が指導の中止を申し出る制度が設けられた。申出を受けた行政機関は要件の有無を確認し、要件なしと認める場合は直ちに指導を中止しなければならない。 同法第35条第1項は、行政指導の際に書面交付を求められた場合には行政機関の名称・担当者・内容・根拠を記載した書面を交付しなければならない旨を定めており、口頭指導だけでは後日の証拠化が困難になる点を実務上押さえる必要がある。

自治体での利用場面と課題

中高層建築物条例に基づく近隣説明要求、産業廃棄物の不法投棄に対する撤去指導、廃棄物処理法違反前段階での改善勧告が典型例。根拠法令のある行政指導と根拠のない行政指導では相手方の服従期待が異なるため、指導の法的根拠の明示が紛争回避に直結する。指導に従わない者の氏名・内容の公表(第36条の2)は実際に発動されるケースが少なく、行政指導の実効性確保の限界として議論が続く。 平成26年改正で新設された第36条の3の「指導中止申出制度」の活用件数は全国的に少なく、制度の周知が不十分な実情がある。担当者は相手方への情報提供と法的効果の説明を徹底することが紛争予防の第一歩となる。

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