デジタル田園都市国家構想とは、デジタル技術を活用して地方の社会課題を解決し、地方と都市の差を埋め誰もが豊かさを実感できる社会の実現を目指す岸田政権下で打ち出された国家ビジョンである。
定義と政策の概要
デジタル田園都市国家構想は2021年秋の岸田政権発足とともに提唱された「デジタルの力で地方が抱える課題を解決し、全国どこでも誰もが便利で快適に暮らせる社会の実現」を目指す国家的ビジョンである。デジタル田園都市国家構想基本方針(2022年閣議決定)・デジタル田園都市国家構想総合戦略(2022年閣議決定)が策定され、デジタル基盤の整備(光ファイバー・5G・データセンター)・デジタルを活用した地方の社会課題解決・デジタル人材の育成・移住・就業の促進・スタートアップの地方展開等の施策が体系化された。
地方自治体への影響
デジタル田園都市国家構想の推進において地方自治体は主要な実施主体と位置付けられており、国からの交付金・補助金(デジタル田園都市国家構想交付金等)を活用した地域のDX推進事業・スマートシティ構築・観光DX・農業DX・医療DX等の取組が全国で展開されている。自治体は地方版デジタル田園都市国家構想(地方創生推進計画)を策定してKPIを設定し、国への報告・評価サイクルを通じた施策改善のPDCAを実施することが交付金活用の要件となっている。デジタル専門人材の採用・外部専門家の活用・民間事業者との協働が自治体のDX推進の前提条件として重要視される。
デジタルインフラの整備
デジタル田園都市国家構想の基盤として、全国津々浦々への光ファイバー・5G等のデジタルインフラ整備が重点事業とされている。過疎地域・山間部・離島等のデジタルデバイド解消が政策目標として掲げられ、Beyond 5G(6G)の研究開発・データセンターの地方分散・量子通信インフラの整備等が長期的な投資課題として位置付けられている。自治体はデジタル基盤整備において電気通信事業者・ケーブルテレビ事業者との協議・補助制度の活用・公共施設へのWi-Fi整備等によりデジタルアクセス格差の解消に取り組む役割を担う。
デジタル人材育成と地方移住
デジタル田園都市国家構想の重要施策の一つとして「デジタル人材育成・確保」が位置付けられており、地方の人材がデジタルスキルを習得できる学習機会の整備・デジタル専門人材の地方移住・就業支援(IT企業の地方サテライトオフィス誘致・リモートワーク普及等)が推進されている。地方自治体にとっては人口減少・高齢化・行政デジタル化という複合的な課題に対して、デジタル人材の確保と活用が中長期的な組織力強化の鍵となっており、デジタル人材育成戦略を人事計画に組み込むことが求められている。
ご意見箱(匿名で投稿できます)