即時強制とは、あらかじめ義務を課すことなく行政機関が直接に人の身体または財産に実力を行使する行政作用で、義務付けになじまない緊急状況や即時の危険除去が必要な場面に限定して用いられる。
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行政代執行(行政代執行法に基づく代替的作為義務への強制)とは異なり、即時強制は義務の不履行という前提を必要としない点が本質的な差異である。警察官職務執行法第3条の保護措置(泥酔者等の保護)・感染症法第19条の強制入院・廃棄物処理法第24条の2の緊急措置が代表的な即時強制の例であり、個別法律が根拠となる。実力行使の内容は個人の身体への実力(精神保健福祉法上の措置入院等)と財物に対する実力(緊急の危険物撤去等)に分かれ、どちらも人権への直接的な侵害を伴うため法律の根拠が必須となる。
行政代執行・直接強制との違い
行政上の強制執行は①行政代執行②執行罰③直接強制④強制徴収(滞納処分)の4類型とされ、即時強制はこれら強制執行とは別の類型として位置付けられる。直接強制は義務の不履行に対し実力で義務内容を実現する手段(代替的・非代替的作為義務の両方に使える)で、現行法では出入国管理法上の収容や成田国際空港周辺区域での建物除去等ごく限られた場合にのみ認められている。即時強制は「義務付け自体なし」という点で直接強制とも明確に異なる。
違法な即時強制への救済
違法な即時強制に対しては、①国家賠償法第1条に基づく損害賠償、②行政事件訴訟法第3条第2項に基づく処分取消訴訟(即時強制が「処分」に該当するかは争われる)、③差止訴訟または仮の差止めが救済手段として挙げられる。即時強制が完了した後では原状回復が不可能な場合が多いため、事前の差止めが実質的な唯一の救済手段となるケースもあるが、緊急性の高い行為に対する差止申立ては認容されにくい実情がある。
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