内部通報制度とは、組織内の不正行為(談合・不正発注・贈収賄等)を内部の者が申告する制度で、公益通報者保護法が通報者を不利益取扱いから保護する法的根拠となる。
内部通報制度とは、組織の内部に不正行為(談合・不正な随意契約・贈収賄・横領等)が存在する疑いを知った組織の構成員(職員・従業員・派遣社員等)が、組織の上位機関または外部機関に通報する仕組みである。公益通報者保護法が通報者の保護を定める。
制度の仕組みと窓口
内部通報制度は①内部窓口(上司・コンプライアンス担当部署・監査部門等)と②外部窓口(弁護士・第三者機関・監督官庁等)の二階層で構成されることが多い。自治体においては首長部局の内部窓口に加え、監査委員事務局・議会への通報ルートが並存する場合がある。通報者の匿名性を保護するため、通報書の秘密保持・通報者の特定につながる情報の管理が制度運用の核心となる。公益通報者保護法(2022年改正)は常時雇用労働者が300人超の事業者に内部窓口の設置と公益通報対応業務従事者(内部調査担当者)の選定を義務づける。
通報から調査・措置までの流れ
通報を受けた窓口は①通報内容の受理・記録→②予備調査(通報の信用性・対象の特定)→③本格調査(事実確認・関係者へのヒアリング・証拠収集)→④調査結果の評価・不正の認定または否認→⑤是正措置(懲戒処分・契約解除・公正取引委員会への通報等)→⑥通報者へのフィードバック(調査結果の通知)という手順で処理する。行政機関の場合は調査結果を監査委員・議会に報告する義務が生じることもある。調査の記録は一定期間保存し、類似案件の発生時に参照できる体制を整えることが制度の継続的な改善につながる。
通報に関する課題と対策
内部通報制度の最大の課題は通報者が報復(不当な人事異動・嫌がらせ・解雇等)を恐れて通報を躊躇することである。公益通報者保護法は通報を理由とした不利益取扱いを禁止し、違反者に行政処分・罰則を科す。自治体は職員向けの制度周知・研修を実施し、通報者が安心して利用できる環境を整備することが制度の実効性を高める鍵となる。匿名での通報も受け付けられるよう窓口を設計し、外部弁護士等を経由した通報経路を整備することで制度の利用促進を図ることも重要な対策の一つである。 内部通報制度の整備状況は内部監査・外部監査の確認対象であり、実効性のある制度として機能させるためには形式的な設置にとどまらず、実際の通報件数・対応事例の蓄積と担当者への定期的な研修が必要となる。通報に対して解決策を講じた事例を匿名化して職員に周知することで、制度の活用実績が可視化され、通報しやすい組織文化の醸成につながる。制度の運用実績を年次報告書にまとめ、議会・住民に公表することが透明性確保の手段となる。
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