法定受託事務

読み:ほうていじゅたくじむ

法定受託事務とは、地方自治法第2条第9項に定める事務区分で、本来国(第1号法定受託事務)または都道府県(第2号法定受託事務)が実施すべき事務を法律・政令で地方公共団体が処理することとされたものである。

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2000年の地方分権一括法施行時に廃止された機関委任事務の代替として設けられた区分で、第1号法定受託事務(国→都道府県・市町村等)と第2号法定受託事務(都道府県→市町村)の2種類が地方自治法別表第1・第2に列挙されている。旅券(パスポート)の交付・国政選挙の管理・国道の管理・生活保護の決定実施等が第1号の代表例であり、自治体はあくまで独立した地方公共団体として処理するものの、国の指揮監督権限の代わりに「是正の指示」(第245条の7)および国が直接代行できる「代執行」(第245条の8)という強い関与手段が残っている。

自治事務との違い(国の関与の強さ)

法定受託事務では是正の要求に止まらず是正の指示(第245条の7)まで行え、それでも是正されない場合は国が代わって執行する高等裁判所への代執行訴訟(第245条の8)も用意されている。自治事務の是正の要求に対し自治体が応じなくても代執行はなく、是正の指示・代執行は法定受託事務固有の国の関与手段である。この差は「事務の本来の帰属が国にあるか自治体にあるか」という性格の違いから論理的に導かれる。

法定受託事務の処理基準

国の各大臣は法定受託事務の処理について処理基準を定めることができ(第245条の9)、自治体はこの基準に即して事務を処理しなければならない。処理基準は技術的助言と異なり、地方公共団体への拘束力を持つ点が特徴である。条例との関係では、法定受託事務に関する条例は根拠法令の的・趣旨の範囲内であれば制定可能だが、事務の性質上自治事務に比べて条例裁量の幅は狭い。

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