履行保証とは、工事請負契約において受注者が契約を履行できなくなった場合に備え、発注者が受ける損害を補填するために設定する保証の仕組みである。
公共工事の請負契約では、受注者(施工者)が倒産・失踪・履行拒否等の理由で契約を履行できなくなった場合に発注者(自治体等)が受ける損害を担保するため、履行保証(契約保証)の設定が義務付けられている。公共工事標準請負契約約款第4条は保証人の設定または保険・保証書の提供を受注者に義務付けており、各自治体の会計規則・契約規則もこれに対応した規定を置く。保証の方法は、①保証会社による工事完成保証(受注者が履行できなくなった場合に保証会社が完成させる)、②銀行等の発行する保証状、③公共工事履行保証証券(損害保険会社が発行)、④現金・国債等の担保提供の四種類が認められる(地方自治法施行令第167条の16)。保証金額は請負代金の10分の1以上が標準であり、契約書に明記される。保証会社への連絡・請求の手順は発注者・保証会社間の保証約款で定められており、保証金の請求は受注者が契約解除されてから行う手続きとなる。
前払金保証との区別
履行保証(契約保証)は工事の完成を担保するものであり、前払金保証(受注者が前払金を受け取った後に破綻した場合に前払金相当額を返還する保証)とは別の保証制度である。両者は別々の保証書・保険証券として契約締結時・前払金請求時にそれぞれ提出される。担当者は前払金保証書(公共工事の前払金保証事業に関する法律に基づく保証事業会社が発行)と契約保証書(履行保証)の2種類を受領・管理する必要がある。
履行保証の行使と事後処理
受注者の倒産・失踪等が判明した場合、発注者は工事の完成見込みを評価した上で契約解除の手続きを行う。契約解除後に発注者は保証会社に対して保証の履行を請求し、保証会社が後続施工者を選定して工事を完成させるか、または損害金を支払う。保証の履行請求に際しては、契約解除の書面・損害額の算定根拠・出来形の確認資料等の準備が必要であり、法務・会計担当部門と連携した処理が求められる。
あわせて読みたい
ご意見箱(匿名で投稿できます)