カーボンニュートラルとは、温室効果ガスの排出量と吸収量を均衡させ、実質排出ゼロを達成する状態であり、国は2050年の実現を目標として掲げる。
2020年10月に政府が「2050年カーボンニュートラル」を宣言し、地球温暖化対策の推進に関する法律(温対法)が改正されて目標が法定化された。地方公共団体は同法第21条に基づき地方公共団体実行計画を策定する義務を負い、事務事業編(庁舎・公用車等の直接排出削減)と区域施策編(民間も含む区域全体の排出削減)の2種類から構成される。区域施策編を策定する義務があるのは都道府県・政令市・中核市等であり、その他の市区町村は努力義務にとどまるが、国の脱炭素先行地域制度(環境省、令和4年度開始)の採択を受けた自治体は独自の高い目標設定が条件となる。実務上の出発点は区域内の温室効果ガス排出量の現況推計であり、エネルギー消費統計・廃棄物統計・農業統計等の複数データを組み合わせて算定する。地方公共団体の直接排出より区域内民間部門の排出量が圧倒的に大きいため、再エネ電力の調達・建築物の省エネ改修・電動車両の普及といった事業者・住民向け施策が計画の主体を占める。
地方公共団体実行計画の策定実務
区域施策編は概ね5〜10年を計画期間とし、基準年度比での削減率目標を明示する。策定にあたっては地域の特性(再エネポテンシャル・産業構造・人口動態)を分析し、太陽光・風力・木質バイオマス等の地域資源を積極的に盛り込む。環境省の「地方公共団体実行計画策定・実施支援サイト」が排出量算定ツールを提供しており、市町村担当者はこれを用いて基礎データを入力する。計画策定後は毎年度の進捗報告が義務付けられており、KPI(指標)の設定と実績集計が担当課の定常業務となる。
脱炭素施策の財源と国の支援制度
環境省の脱炭素先行地域制度では、令和6年度末時点で全国100か所以上の選定が目標とされており、選定自治体には脱炭素化支援機構(令和4年設立)からの資金支援が受けられる。再エネ設備導入補助・ZEV(ゼロエミッション車)購入補助・公共施設のZEB化支援等の補助メニューが年度ごとに変動するため、最新の補助要件を国の公募情報で確認する必要がある。公共施設のPPAモデル(電力購入契約)活用は初期投資を抑えながら再エネを導入できる手法として注目されており、自治体の土地・屋根貸しスキームとしても整備が進む。
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