用地取得
読み:ようちしゅとく
用地取得とは、公共事業(道路・公園・学校・庁舎等)の実施に必要な土地・建物・権利を任意交渉または収用手続きによって取得する一連の行政手続きをいう。
定義と概要
用地取得とは、道路・河川・学校・庁舎・公園等の公共施設を整備するために必要な土地・建物・借地権・農業権等を、任意の売買交渉(任意取得)または強制手続き(土地収用法に基づく収用)によって取得する業務の総称である。公共事業を支障なく実施するためには用地取得の進捗が計画工程の鍵を握ることが多く、用地担当部署(用地課・用地係等)が専門的な業務として担当する。任意取得を優先して交渉し、合意が得られない場合に限り土地収用手続きに移行するという手順が実務上の原則とされている。
用地交渉のプロセス
用地取得の典型的なプロセスとして、①事業の説明・権利者の確認(土地登記・農地台帳・建物登記等の調査)、②補償額の算定(不動産鑑定士による鑑定・標準地補償額の設定)、③地権者への説明・交渉(補償の内容・移転先の相談等)、④契約締結(売買契約・移転補償契約・土地の引渡し)、⑤補償金の支払いという順序で進む。権利関係が複雑(未登記・相続未了・抵当権設定等)な土地は権利調整に時間を要するため、事業着手前の早期調査が重要となる。
補償の種類
公共事業のための用地取得に伴う補償として、土地の取得補償・建物等の移転補償・動産移転補償・事業廃止または休止補償・農業補償・漁業補償・営業補償等がある。補償額の算定は土地収用法・公共用地の取得に伴う損失補償基準要綱(用対連基準)に基づいて行われ、近傍類地の取引事例・路線価・固定資産税評価額等を参考として適正な価格を決定する。被補償者が補償額に不服がある場合、収用委員会の裁決・異議申立て・取消訴訟等の不服申立て手段が用意されている。
特殊事例の対応
用地取得で特に困難な事例として、権利者が多数・権利関係が複雑な土地(区画整理地・共有地・相続未分割地等)・権利者が行方不明・拒否する場合の土地収用手続きへの移行・建物占有者の立退き・アスベスト等の有害物質を含む建物の解体補償等がある。土地収用手続きへの移行は時間・費用がかかるうえ地権者との関係悪化を招くリスクがあるため、合意形成に向けた粘り強い交渉と正当な補償額の提示が実務の基本となる。担当者は不動産知識・交渉スキル・法務知識を兼ね備えた専門性が求められ、国家公務員や民間コンサルタントを活用した体制整備も検討される。
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