見積り合わせとは、随意契約を締結する際に複数の業者から見積書を徴収して内容・価格を比較する手続きであり、随意契約においても競争原理を確保し適正な価格での調達を実現するための事前確認措置である。
地方自治法施行令第167条の2は少額案件など一定の条件下で随意契約を認めているが、同令第167条の2第2項は「なるべく2人以上から見積書を徴さなければならない」と規定しており、随意契約であっても価格の適正性確認を求めている。見積り合わせはこの規定を実践する手続きであり、一者随意契約の乱用による不当高値調達を防ぐための基本的な内部統制措置として位置づけられる。少額でも複数業者から見積りを取ることで市場実勢価格との乖離を確認でき、契約価格の妥当性を説明する証跡となる。随意契約が多い修繕・保守・消耗品調達の分野では、見積り合わせの実施状況が会計検査や監査委員の審査で必ずチェックされる項目となっており、担当者は徴取から記録保管まで一連の手続きを漏れなく実施することが基本となる。特定の業者との継続的な随意契約が常態化している案件では、定期的に見積り合わせの相手方を見直し固定化を防ぐことが公正な競争環境の維持につながる。発注仕様を統一しないまま各業者から個別の条件で見積りを取ると比較が困難になるため、仕様書または見積依頼書を事前に整備することが見積り合わせの質を高める前提となる。
実施方法と記録管理
見積り合わせの実施にあたっては、①発注仕様の統一②複数業者への同一条件での見積依頼③提出された見積書の内容比較④最低価格または最有利条件の業者を選定という手順が一般的である。見積書は原則として書面(または電子メール等の記録が残る方法)で受領し、比較表とともに保管することで会計検査や監査への対応が可能となる。口頭での見積確認は証拠として認められないため、発注担当者が口頭のみで「相場確認済み」とするのは内部統制上リスクがある。
一者見積りが許容される場合
特定業者のみが供給できる専門機材・独占的サービス・緊急性を要する修繕など、複数業者からの見積り取得が物理的・実務的に困難な場合は一者随意契約が認められる。ただしこの場合も「一者のみ対応可能な理由」を文書化し、単価の妥当性を標準価格や市場相場と比較した記録を残すことが会計検査院・監査委員からの指摘を防ぐうえで前提となる。少額随意契約の管理を組織的に行うため、案件ごとの見積取得記録を台帳化している自治体も多い。見積り合わせの実施率・件数を定期的に集計し、監査委員や議会への説明資料として活用することが調達の透明性確保に役立つ。
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