くじ引きとは、競争入札において複数の入札者が同一価格を提示した場合の落札者決定方法として地方自治法施行令第167条の9に規定されたものであり、価格が同等な条件下での恣意を排した公正な選定手段として機能するものである。
競争入札では最低価格(または最高評価値)を示した者を落札者とするが、複数の入札者が全く同じ金額を提示した場合には価格以外の基準で落札者を決める必要が生じる。地方自治法施行令第167条の9はこの場合に「くじ」で落札者を決定することを規定しており、担当者の恣意が介入しない方法として長く活用されてきた。同条は「当該入札者にくじを引かせる」と定めており、入札者が立会いのもとでくじを引くことが原則的な手順である。開札結果が同価格になること自体は稀であるが、指名競争入札の少人数案件や特定の積算基準に従った工事案件では発生しやすい状況となる。くじ引きの結果については開札調書に記録し、情報公開請求に対応できる状態で保管することが手続きの透明性を維持するうえで前提となる。
電子入札における電子くじ
電子入札システムでは「電子くじ」として乱数を用いたシステム上の自動抽選が同価格時の落札者決定に使われる。電子くじでは開札と同時にシステムが自動的に抽選を実施し、結果が即座に確定するため、書面入札時代のように参加者を呼び集めてくじを引かせる手間が不要となった。電子くじの乱数生成アルゴリズムは公正性の担保のためにシステムの設計仕様として定義されており、外部からの恣意的操作が不可能な仕組みとなっている。電子くじの結果は入札参加者がシステム上でリアルタイムに確認できる設計が採用されており、抽選過程の透明性が書面くじよりも客観的に担保される面がある。
総合評価方式と同点処理のルール設定
総合評価落札方式では価格点と技術評価点を合算した評価値で落札者を決定するため、完全に同点になるケースはまれだが、評価配点の設計によっては理論上発生し得る。同点となった場合の優先順位決定ルール(くじ引き・価格優先・技術点優先等)を入札公告段階で明示しておくことが、開札後のトラブル防止の前提となる。指名競争入札では参加者が3〜5者程度と少ないため、同価格になる確率が相対的に高く、事前のルール明示が特に重要となる案件がある。同一業者への特定の案件への継続的な指名が疑われる状況では、くじ引きの多発が恣意的な指名との関連で監査委員の指摘対象となる場合もある。書面くじを実施する際は開札立会者の前でくじを引かせ、くじの本数・引いた順序・結果を開札調書に詳記することで後からの検証を可能にする形が基本的な手続きとなる。
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