工事中止とは、発注機関の指示または不可抗力・設計上の問題等の事情により進行中の工事を一時または恒久的に停止させる措置で、中止期間中の費用負担の取扱いが主要な論点となる。
工事中止とは、受注者が工事を実施しているにもかかわらず、発注機関の指示あるいは双方合意のもとで施工を停止させる措置である。一時中止は後日再開を前提とするが、事業そのものが廃止される場合は契約解除の手続きへ移行する。
中止の種別と原因
工事中止は①発注機関の指示による中止と②不可抗力による協議での中止の二種類がある。発注機関起因の事由としては、事業計画の変更・用地取得の頓挫・住民反対への対応・設計変更の必要性判明・文化財発掘等が挙げられる。受注者側の倒産・施工不履行を原因とする契約解除は工事中止とは区別される。一時中止は工期延長で対処されるが、恒久中止の場合は出来形部分の検査・精算、現場の原状回復、仮設物の撤去に関する取り決めが必要となる。
発注機関の指示と手続き
発注機関が工事中止を指示する場合、工事監督員から受注者(現場代理人または監理技術者)へ書面(工事中止命令書)を交付するのが標準手順である。受注者は中止指示を受け取り次第、現場の安全を確保するための養生・仮設措置を施した上で施工を停止する。中止期間・再開条件を定めた覚書や中止命令書を交わすことで、中止に伴う費用・損害の精算根拠が明確化される。発注機関が中止指示を怠り受注者に損害を与えた場合、発注機関が損害賠償責任を負う可能性がある。
中止期間中の費用・損害
中止期間中も受注者には現場維持費(仮囲い・警備・仮設物の維持管理)が発生し続ける。公共工事標準請負契約約款では、発注機関の指示による中止の場合、損害・増加費用(現場維持費・労務者の待機費等)は発注機関が負担するとされる。不可抗力による中止の損害は軽微なものを受注者負担とし、一定規模以上を発注機関が補填する二段階構造が定められている。中止が長期化する場合は、受注者が工事の廃止・契約解除を申し出て出来形部分の精算を求めることができる仕組みもある。発注機関は工事中止の決定理由・期間・費用処理の経緯を文書化し、担当者交代後も参照できる状態で保存する。工事の廃止に至った場合は出来形部分の確認・精算・返還処理を迅速に行い、受注者・関係者への説明責任を果たすことが担当部署の義務となる。工事中止の事例を分析し、発注計画段階での事前調査の徹底により類似の事態の再発を防ぐことが重要な実務課題となっている。中止期間中も現場の保全・安全管理の責任関係を契約書で明確にしておくことが、双方の損害を最小化するための前提となる。
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