カルテルとは、同種の事業を営む複数の事業者が競争を制限する目的で価格・生産量・市場分割・取引先等について合意する行為であり、独占禁止法(私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律)が「不当な取引制限」として禁止するものであり、公共調達における談合もカルテルの一形態である。
カルテルは自由競争を阻害し、消費者・発注者に不当に高い価格を負担させる行為として、世界共通の競争法上の問題とされる。日本では独占禁止法(私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律)第3条が不当な取引制限を禁止し、公正取引委員会が排除措置命令・課徴金納付命令によって規制する。公共調達における入札談合は、複数の受注者が事前に受注予定者・落札価格を合意するカルテルの典型であり、国際的にも「bid rigging(入札談合)」として厳しく規制される。カルテルが成立すると落札価格が人為的に高止まりし、発注機関(自治体)の財政支出が増大するため、住民の税負担に直接的な悪影響を与える。
課徴金制度と刑事罰
公正取引委員会はカルテル参加者に対して、違反行為期間中の売上高に一定率を乗じた課徴金を課すことができる(独占禁止法第7条の2)。カルテルへの自主的申告(リニエンシー制度・課徴金減免制度)を行った事業者は課徴金の減額・免除を受けられ、調査協力の程度に応じて減免率が設定される。悪質なカルテルは刑事告発の対象となり、法人・個人双方に刑事罰が課される。課徴金の水準は平成の独占禁止法改正以降、順次引き上げられており、企業の法令遵守コスト上昇を通じた抑止効果が期待されている。
発注機関の留意点
発注機関は、入札結果の分析(落札率の推移・応札者の組み合わせ・予定価格への近接度)によりカルテル・談合の兆候を早期に検知する体制を整えることが望ましい。談合の疑いを把握した場合は公正取引委員会への情報提供が可能であり、組織的に証拠保全・報告する手続きを整備しておくことが重要となる。落札率が継続的に高い品目・工種については定期的に市場分析を行い、競争環境の変化を把握することが談合の早期発見につながる。
カルテルの証拠となる文書・通信記録の収集・保全が公正取引委員会の立入調査(dawn raid)の中心的な内容であり、企業側のコンプライアンス担当者は立入調査への対応手順を事前に整備しておく必要がある。発注機関の立場からは、カルテルの疑いを察知した際の公正取引委員会への情報提供ルートと組織内部の報告体制をあらかじめ確認しておくことが迅速な対応を可能にする。独占禁止法上のコンプライアンスプログラムを整備した企業では、競合他社との接触ルール・禁止行為の列挙・違反時の報告義務・研修受講義務などを定め、カルテルへの加担を組織として防止する体制を構築している。発注機関の立場からも、入札前の価格情報の厳重管理が入札参加者間のカルテル成立機会の低減につながる。
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