同じ不許可という結論でも、申請を握りつぶして放置した場合と、標準処理期間内に審査し理由を付して通知した場合とでは、行政の正当性はまったく異なる——この「過程の正しさ」を制度として担保するのが行政手続である。行政手続法および各自治体の行政手続条例は、申請に対する処分には審査基準の設定・標準処理期間・理由の提示を、不利益処分には弁明や聴聞の機会を求めており、窓口職員はこれらの手順を一つでも欠くと処分が違法と評価されかねない。実務では、申請が形式上整っているか(補正を求めるべきか)、いつの時点で受理・到達したとみなすか、誰を名宛人とし誰に送達するかといった手続上の判断が、後の不服申立てや訴訟での争点になる。届出のように到達すれば足りる行為と、申請のように応答を要する行為とでは、行政の義務も異なる。標準処理期間を徒過したときにみなし許可が成立するかどうかも、個別法の手続規定の読み方にかかっている。手続の瑕疵は、それ自体が処分の取消事由となりうる点で、実体判断と並ぶ重要性を持つ。
申請に対する処分と不利益処分
行政手続法は、行政手続を大きく「申請に対する処分」「不利益処分」「行政指導」「届出」「命令等の制定」に分けて規律する。申請に対する処分では審査基準・標準処理期間・理由提示が、不利益処分では原則として聴聞または弁明の機会の付与と理由提示が求められる。手続段階で誰が当事者となるかを画するのが名宛人と利害関係人の概念であり、聴聞に参加できる範囲などに影響する。
申請・届出と受理の意味
申請は私人が許認可等の利益を求めて応答を求める行為、届出は一定事項を通知することで足りる行為であり、両者を包括して申請等という。届出は形式上の要件を満たして行政機関に到達すれば手続上の義務が履行されたとされ、行政庁の「受理」という観念的行為を待たずに効果を生じるのが原則である。要件不備があれば補正を求め、それでも整わない場合の不受理の取扱いが問題となる。
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