名宛人とは、行政処分その他の行政行為が直接その者を相手として発せられ、権利を付与され、または義務を課される者をいう。
一つの処分をめぐって誰が当事者なのかが曖昧だと、誰に通知し、誰が不服を申し立てられるのかが定まらない。名宛人は、処分が直接向けられた相手方を指す概念で、行政手続・行政争訟の出発点を画する。
名宛人は、許可を受ける申請者や、是正命令を受ける事業者のように、処分の効果を直接受ける者である。不利益処分をする場合、行政手続法は名宛人に対する聴聞や弁明の機会の付与、理由の提示を義務づけており、誰が名宛人かによって与えるべき手続的保障が決まる。処分の名宛人でない第三者であっても、処分により法律上の利益を害される者は原告適格を認められる場合があり、名宛人と原告適格の範囲は必ずしも一致しない。
不利益処分の名宛人に対する手続保障
行政手続法は、不利益処分について名宛人に手続的保障を与える。重い処分(許認可の取消し等)では聴聞、それ以外では弁明の機会の付与を行い、いずれの場合も処分の理由を示さなければならない。これらはすべて「名宛人となるべき者」に対して行われるため、誰が名宛人かを正しく特定することが手続の前提になる。名宛人を取り違えて手続を行えば、本来手続を受けるべき者の防御権が侵害され、処分が手続的瑕疵を帯びる。逆に、処分の効果が直接及ばない者にまで聴聞を要するわけではなく、手続保障の名宛は処分の直接の相手方に画される。
名宛人と第三者・原告適格
処分の名宛人は、その処分を最も直接に争いうる立場にあり、不服申立て・取消訴訟の原告適格が当然に認められる。問題は、名宛人でない第三者が処分を争えるかである。たとえば事業者への営業許可に対して周辺住民が、開発許可に対して近隣の地権者が争う場面では、処分の名宛人ではないが法律上保護された利益を害されると認められれば原告適格が肯定される。つまり名宛人であることは原告適格の十分条件だが必要条件ではなく、名宛人の範囲と争いうる者の範囲は区別して考える必要がある。
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