ジチテン

弁明の機会の付与

読み:べんめいのきかいのふよ

意味

弁明の機会の付与とは、行政手続法第29条に基づき、行政機関が不利益処分を行う前に、相手方が原則として書面で意見を述べる機会を与える事前手続であり、聴聞より簡易な形式で行われるものである。

行政手続法は、不利益処分の前に踏むべき事前手続として、聴聞と弁明の機会の付与の二つを定める。許認可の取消しや資格の剝奪といった重大な処分には手厚い聴聞が求められ、それ以外の不利益処分には簡易な弁明の手続が適用される。

弁明は原則として弁明書という書面で行い、相手方の同意がある場合に限り口頭でも実施できる。聴聞のように主宰者による審理や調書の作成を要しないため、手続は相対的に簡易かつ迅速に完了する。簡易とはいえ、処分前に相手方の言い分を聞く機会を保障する点では、適正な手続を担保する仕組みである。

弁明手続の流れ

不利益処分を予定する行政機関は、相手方に対し、予定している処分の内容と根拠法令、弁明書の提出先と提出期限を書面で通知する。相手方は期限までに弁明書と証拠書類を提出し、行政機関はその内容を考慮したうえで処分を決定する。聴聞と異なり、主宰者の指定や調書・報告書の作成は要しない。提出期限は行政機関が設定するが、弁明書の作成と証拠の収集に必要な合理的な期間を確保しなければならない。電話やメールでの事前確認だけで手続を済ませることは違法であり、書面による正式な通知と弁明書の受領という過程を経る必要がある。

聴聞との選択と手続の瑕疵

聴聞が必要となる処分は、許認可の取消しや、資格を有する者への業務廃止命令など、行政手続法が列挙する重大な不利益処分に限られる。これに該当しない業務停止命令や改善命令などには、弁明の手続が適用される。「許認可の取消しにあたるか」が手続を振り分ける最初の判断軸となる。弁明の機会を与えずに不利益処分を行えば、手続上の違法として審査請求取消訴訟の対象となりうる。最高裁は、手続の違反が常に処分を無効にするとは限らないとしつつ、重大な手続違反は処分の効力に影響しうるとしている。担当者は、処分の根拠と手続選択の判断を記録に残し、後の争訟に備える必要がある。

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