審査請求とは、行政不服審査法(平成26年法律第68号)に基づき、行政庁の処分または不作為に不服がある者が審査庁に対して行う不服申立ての原則的形態であり、平成28年改正により不服申立ての主要手続きとして一本化された。
行政の処分に納得がいかないとき、誰もがすぐに裁判を起こせるわけではなく、より手軽に見直しを求められる窓口が要る。審査請求は、行政の処分や不作為に不服がある者が行政機関に対して見直しを求める、不服申立ての原則的な形態である。訴訟より軽い負担で権利救済の道を開き、行政が自ら誤りを正す機会を与える点が肝心である。
2016年に施行された改正行政不服審査法により、それまでの異議申立て制度は廃止され、不服申立ては審査請求に一本化された。処分を知った日の翌日から原則3か月以内に書面で審査庁へ請求し、審査庁は原則3か月以内に裁決を下す。裁決には、請求を退ける棄却、認める認容、要件を欠くとして門前払いする却下の3種類がある。
審査庁と審理員制度
審査庁は原則として処分庁の最上級行政庁だが(第4条第1号)、処分庁が知事・市区町村長の場合はそれ自身が審査庁となる。平成28年改正で導入された審理員制度では、審査庁は処分に関与していない職員(審理員)を指名し(第9条)、審理員が弁明書・証拠書類の収集と審査請求人との反論手続きを主宰した後に「審理員意見書」を審査庁に提出する。 審理員は処分庁からも審査請求人からも独立した立場で審理を進める。審査請求人は弁明書の写しを受領後に反論書・証拠書類を提出でき(第30条)、口頭意見陳述の機会も請求できる(第31条)。口頭審理を主宰するのが行政機関内部の審理員という点が聴聞手続きとの主な相違点だ。
行政不服審査会への諮問
審査庁は裁決前に、行政不服審査会(国の場合)または条例が定める附属機関(自治体の場合)に諮問しなければならない(第43条第1項)。情報公開・個人情報保護に関する処分は各法が定める専門審査会への諮問が義務付けられており、諮問なしの裁決は違法となる。自治体では情報公開・個人情報保護に関する審査請求が件数の多くを占める。第三者機関の答申を経ることで、処分庁の身内による判断に偏らないよう客観性が担保される仕組みになっている。
取消訴訟との選択
審査請求と取消訴訟は原則として自由選択できるが、税務処分・国民健康保険等では審査請求前置主義が採られ、審査請求を経ずに取消訴訟を提起すると訴えが不適法となる。裁決後に取消訴訟を提起する場合は裁決を知った日から6か月以内の出訴期限があり、期限の管理が実務上の重要課題だ。どちらの手段を選ぶか、また両者をどう組み合わせるかは権利救済の成否を左右するため、前置の要否と出訴期限を正確に押さえておくことが欠かせない。
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