行政不服審査会とは、行政不服審査法に基づき、審査請求の審理の公正性を確保するために設けられる第三者機関であり、審査庁の諮問に応じて調査審議を行い答申するものである。
行政不服審査会は、2016年に施行された改正行政不服審査法によって新設された制度である。国においては総務省に設置され、地方公共団体においては条例に基づいて設置することができる。審査庁は、審査請求に対する裁決を行うにあたり、原則としてこの機関に諮問しなければならない。
審査会の答申に審査庁が法的に拘束されるわけではないが、第三者の専門的な判断を経ることで、行政が自らの処分の当否を身内だけで判断する弊害を避け、審理の公正さを担保する。実務では、答申の内容を尊重した裁決が行われることがほとんどである。設置の形態には、自治体が単独で設ける方式と、複数の自治体が共同で設ける方式の双方が認められており、規模の小さい市区町村では、共同設置によって設置の費用を抑える例が多い。
審理員制度との関係
改正行政不服審査法は、審理の公正さを高めるため、二つの仕組みを導入した。一つが審理員、もう一つが行政不服審査会である。審理員は、審査庁に属する職員のうち、その処分に関与していない者から指名され、証拠調べや意見の陳述といった審理の手続を主宰する。審理員は、審理の結果を意見書としてまとめ、審査庁に提出する。審査庁は、この審理員意見書を添えて行政不服審査会に諮問し、その答申を踏まえて裁決を行う。処分に関与した者が自ら審理を行えば公正さが疑われるため、処分の担当から切り離された者が審理を担う設計となっている。ただし、規模の小さい自治体では、処分に関与していない職員を確保すること自体が難しい場合がある。
自治体の設置の実態と課題
法の施行にあたり、多数の市区町村が行政不服審査会の設置に取り組んだが、委員となる弁護士や学識経験者の確保、事務局の体制の整備が課題となった。都道府県や指定都市の多くは独自の審査会を設けている一方、中小規模の市区町村では、複数の自治体による共同設置や、既存の相談の窓口との機能の統合によって対応する例がみられる。審査請求の件数が少ない自治体では、諮問の機会そのものがまれであるため、委員が専門的な知識を保ち続けることが難しいという課題もある。制度の趣旨である審理の公正さを、限られた人員と機会のなかでどう確保するかが、運用の鍵となっている。
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