理由の提示とは、行政庁が不利益処分や申請拒否処分を行うとき、その名あて人に対して処分の理由を示すことを義務づける行政手続法上の仕組みをいう。処分の慎重・合理性を担保し、相手方の不服申立てを容易にすることを目的とする。
「不許可」とだけ書かれた通知では、申請者はなぜ落とされたのか分からず、争うこともできない——これを防ぐのが理由の提示である。行政手続法は、申請拒否処分と不利益処分について、原則として理由を示すことを行政庁に義務づけている。示すべき理由は、処分の根拠条文を挙げるだけでは足りず、いかなる事実にどの基準を当てはめてその結論に至ったかを、名あて人がその記載自体から了知できる程度に具体的でなければならないとされる(判例)。審査基準・処分基準が定められている場合は、どの基準のどの部分に該当したかまで示す必要がある。理由提示に不備があれば、それ自体が処分の取消事由になりうるため、窓口で拒否や不利益処分の通知を起案する際は、定型文ではなく当該事案に即した理由を書くことが実務の要点になる。
どこまで書けば「理由を示した」ことになるか
理由の提示で問われるのは、理由の有無ではなく具体性の程度である。判例は、名あて人が処分の理由をその記載自体から了知できる程度に示す必要があるとし、単に根拠条文を掲げるだけでは不十分とする。とりわけ審査基準・処分基準が設定・公表されている場合、いかなる事実関係に基づきどの基準を適用して結論に至ったかを、相手方が当該記載から理解できるよう示さなければならない。理由提示が要求されるのは、処分の慎重・合理性を確保して恣意を抑制すること(自己統制機能)と、相手方が不服申立ての要否・内容を判断できるようにすること(争訟便宜機能)の二つの趣旨による。
理由提示の瑕疵は処分を取り消しうる
理由の提示は処分の手続要件であり、これを欠いたり記載が不十分だったりすると、処分内容そのものが適法であっても、手続上の瑕疵として処分が取り消されることがある。後から訴訟段階で理由を追加・差し替えること(理由の追完・差替え)が認められるかは限定的で、当初の通知に書かれた理由が審理の枠を画する場合がある。したがって実務では、不利益処分・拒否処分の通知書を起案する段階で、事案ごとに事実と適用基準を具体的に記載しておくことが、後の争訟リスクを下げる要点になる。定型句の流用は瑕疵の温床になる。
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