受理とは、私人が行政機関に提出した申請・届出などを、行政機関が有効なものとして受け付ける行為をいう。行政手続法のもとでは、申請は事務所に到達した時点で審査義務が生じ、かつての「受理」概念は法的意味を失っている。
「書類は預かるが受理はしない」という窓口の運用がかつて横行したが、行政手続法はこの「受理」という関門を廃した——この転換を知らないと、申請の取扱いを誤る。行政手続法は、申請が法令に定められた形式上の要件に適合していれば、それが事務所に到達した時点で行政庁に審査・応答の義務が生じると定める。つまり、申請を受け付けるかどうかを行政が選別する「受理/不受理」という段階は、申請に対する処分の場面では原則として存在しない。形式に不備があれば補正を求めるか拒否処分をするのであって、書類を返したり預かったまま放置したりすることは許されない。一方、戸籍の届出のように個別法が「受理」を要件とする手続では、受理が法的効果の発生要件として今も意味を持つ。窓口では、扱っている手続が申請なのか個別法上の届出なのかで、受理の意味が変わることに注意がいる。
行政手続法が「受理」を廃した理由
行政手続法以前は、申請を行政が「受理」して初めて審査が始まるという運用が広く行われ、窓口で「要件が整うまで受け取らない」「受理は保留する」といった事実上の門前払いが申請者を苦しめた。行政手続法は、申請が形式上の要件に適合している限り、事務所に到達した時点で行政庁に審査・応答義務が発生すると定め、この「受理」という関門を法的に解消した。これにより、行政は到達した申請を放置できず、形式不備があれば速やかに補正を求めるか、要件を欠くとして拒否処分(理由を付した不許可等)をするしかない。書類の返戻や預かり放置は、応答義務違反として違法と評価されうる。標準処理期間の起算も、受理時ではなく到達時を基準とする。
届出と個別法の「受理」は別物
申請に対する処分の場面で受理が法的意味を失った一方、戸籍の届出など個別の法律が「受理」を効果発生の要件としている手続では、受理は今も法的な意味を持つ。たとえば婚姻は届出が受理されることで効力を生じるとされ、市区町村長は届出が法定の要件を満たすかを審査して受理・不受理を決する。ここでの受理は単なる受付ではなく、法律行為の効力を完成させる行為に近い。したがって「受理」という同じ語でも、行政手続法上の申請では原則として観念されないのに対し、個別法が定める届出では効果要件として機能するという違いがある。窓口では、扱う手続の根拠法がどちらの構造かを確かめる必要がある。
ご意見箱(匿名でひとことから投稿できます)