業務継続計画(BCP)とは、大規模災害・感染症等の危機事象が発生した際に、自治体が優先的に継続すべき業務(非常時優先業務)と再開目標時間を定め、発災後の行政機能の維持・早期回復を図るための計画である。
内閣府「地方公共団体における業務継続計画作成ガイド」(2010年版・2015年版・2020年版)に基づき策定が推進されている。策定済み市区町村の割合は年々向上し、令和4年度(2022年度)時点で全市区町村の99パーセント超が地震・水害対応のBCPを策定済み(総務省調査)。
計画に盛り込む主な要素
①非常時優先業務の特定(住民票・税・生活保護・介護・上下水道等のうち発災後72時間以内に再開が必要な業務の選定)、②各業務の目標再開時間(RTO:Recovery Time Objective)の設定、③業務の継続・早期再開に必要な資源(人員・庁舎・システム・電源等)の確保策、④情報収集・意思決定の体制(対策本部の設置手順)。 非常時優先業務の選定では「発災後3時間以内」「24時間以内」「72時間以内」「1週間以内」の4フェーズに分けた再開目標を設定するのが内閣府ガイドラインの推奨形式だ。人員計画では参集可能率(発災直後は職員の30〜50%程度と想定)・応援職員の受入れ体制も盛り込む必要がある。
地震型BCPと水害型BCPの違い
地震型BCPは庁舎被災・職員の参集困難を前提とし、代替庁舎・非常用電源・衛星通信の確保が重点課題になる。水害型BCPは浸水想定区域内に庁舎がある場合の事前移転(フェーズドアプローチ)と業務を継続できる期間の把握が中心課題になる。近年は複合災害(地震+洪水等)への対応を織り込んだ計画の見直しが推奨されている。 地震型BCPでは耐震性の確認と代替執務場所(支所・公民館等)の指定が最優先課題。水害型BCPは国土交通省「水害BCP策定ガイドライン」(令和3年)を参考に、庁舎の浸水リスク評価と情報システムの高台移転・クラウド化を重点整備項目とする。令和6年能登半島地震での行政機能の混乱は地震型BCPの実効性が問われる事例となり、全国的な見直しの機運が高まっている。
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