不当廉売

読み:ふとうれんばい

別名:不当廉売行為

不当廉売とは、正当な理由なく商品・役務を供給コストを著しく下回る対価で継続的に提供し、競争相手を市場から排除しまたは顧客を不当に獲得しようとする行為であり、独占禁止法が禁止する不公正な取引方法の一類型である。

この説明はいかがですか?

独占禁止法第19条は不公正な取引方法を禁止し、その中に不当廉売が含まれる(一般指定第6)。不当廉売は価格が低いこと自体が問題なのではなく、「供給コストを著しく下回る対価」での「継続的」な供給が「正当な理由なく」行われる点が違法性の要素となる。公正取引委員会は不当廉売の判断基準として、供給コストの下回り幅の大きさ・継続期間・競争排除の意図・市場への影響等を総合的に考慮する。一般消費財市場での事例が多いが、公共調達の文脈ではダンピング入札との関係で問題となることがある。入札価格が異常に低い場合、それが一時的な戦略的受注なのか、競合業者を市場から排除する意図に基づく継続的な廉売なのかによって独占禁止法上の評価が異なる。公共市場における長期的な競争環境の維持という視点からも、不当廉売の概念は重要な位置を占める。特定の地域や品で支配的な地位にある業者が採算割れ価格で入札を繰り返すケースでは、競争相手の排除効果が顕著に生じうるため、競争政策上の問題として捉えることができる。

ダンピングとの違い

公共調達文脈における「ダンピング」は一般に「不当に低い価格での入札」を指す実務用語であるのに対し、「不当廉売」は独占禁止法上の法的概念である。両者は重複する場面もあるが、独占禁止法上の不当廉売が成立するためには市場競争秩序への影響(競争相手の排除等)が要件となるのに対し、入札ダンピングの問題は主として品質確保・下請保護・業界秩序の面から論じられる点で異なる。公共調達での受注価格が著しく低い場合に公正取引委員会が不当廉売として調査・措置命令を発するケースはまれであるが、市場全体への価格影響が大きい調達では理論上問題となりうる。

独占禁止法上の手続き

不当廉売に対しては公正取引委員会が排除措置命令・課徴金納付命令を発することができ、悪質な場合は刑事罰(独禁法違反)の対象ともなる。自治体の発注担当者が入札価格の異常な低さに疑問を持った場合は、ダンピング対策(最低制限価格・低入札価格調査)の適用を先に検討し、市場競争全体への影響が懸念される場合は公正取引委員会への情報提供を検討することが妥当な対応となる。不当廉売に関する知識を発注担当者が持つことで、異常な価格競争の兆候を早期に察知し、独占禁止法の趣旨に沿った対応が取れるようになる。調達市場の競争環境を継続的にモニタリングすることが、長期的に健全な公共調達市場を維持するための基本的な取組となる。

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