特許(行政法)とは、私人に対して新たな権利・地位・法律関係を設定する行政行為であり、河川占用許可・鉱業権設定・公有水面埋立免許等が代表例とされる。
定義と性質
特許とは、私人が本来有しない権利・地位・法律関係を行政庁が設定して付与する行政行為である。一般的禁止の解除にすぎない許可とは異なり、特許によって相手方は新たな法的権能を取得する。河川の流水の占用権(河川法第23条)・公有水面の占用・埋立権(公有水面埋立法)・鉱業権(鉱業法)・電気事業の許可(電気事業法)等が行政法学上の特許の典型例として挙げられる。特許によって付与された権利は財産権として保護される一方、公益上の必要がある場合に取消・変更が許される旨の根拠が法令に設けられることが多い。
許可・認可・特許の比較
行政法学上の類型区分として、許可(一般的禁止の解除)・認可(法律行為の効力補充)・特許(新権利の設定)・免許(排他的資格の付与)が論じられる。ただし実定法上の用語は学問的分類と一致しないことが多く、実定法が「許可」と名付けていても実質は特許に相当する場合(河川占用許可等)がある。条文の文言だけでなく、当該行政行為の性質・相手方が取得する権利の内容・拒否した場合の効果等を総合して法的性格を判断することが必要である。
特許の取消と補償
特許によって付与された権利は財産権として保護されるため、行政庁が公益上の必要から特許を取消・変更する場合には損失補償が必要となる場合がある。無補償での特許取消が許されるのは、特許付与の要件となった事実が消滅した場合・特許条件に違反した場合等、相手方に帰責すべき事由がある場合に限られると解するのが判例・通説の立場である。自治体が特許の取消・変更を検討する際は、補償義務の有無・補償額の算定方法について法務・財政部門と連携した慎重な検討が不可欠となる。
実務上の留意点
自治体が行う特許的行為として、河川占用(河川管理者たる都道府県・国)・道路占用(道路管理者)・公有水面の占用・行政財産の目的外使用許可等がある。特許によって排他的使用権が付与される場合、同一対象物について競合する申請があれば先申請主義・抽選・入札等による優先順位決定の仕組みが必要となる。特許期間の満了・条件違反・公益上の必要等による取消時の手続き(聴聞・理由提示・補償)を整備した規則・要綱の整備が適法な行政運営の基盤となる。
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