特区とは、特定地域において規制の特例措置を適用することで、産業・技術の革新や地域活性化を促進する制度の総称であり、国家戦略特別区域法・構造改革特別区域法等が根拠となる。
日本の特区制度は複数の根拠法に基づく異なる制度群から構成されており、国家戦略特別区域法(平成25年法律第107号)・構造改革特別区域法(平成14年法律第189号)・地域再生法(平成17年法律第24号)・総合特別区域法(平成23年法律第81号)が主要な根拠法である。国家戦略特区(アベノミクスの「三本の矢」の一つとして創設)は内閣主導で区域・事業を指定し、雇用・医療・農業・都市再生等の分野で規制緩和のパッケージを適用する制度であり、区域計画の認定は内閣府の国家戦略特別区域諮問会議で審議される。構造改革特区は地方公共団体・民間事業者が規制緩和の提案を国に行い、内閣府が認定する申請型制度であり、認定自治体は構造改革特別区域計画を策定して特例措置の適用を受ける。自治体が特区申請を行う動機は、実施したい事業の障壁となっている規制(農地への企業参入・学校設置主体の拡大・医療法人の業務範囲等)を特例的に緩和することにある。
申請・認定から事業実施までの手続き
国家戦略特区の区域指定は既指定の8区域(東京・関西・愛知・仙台・広島・やまぐち・新潟・沖縄等)を中心に運用されており、新たな規制緩和項目の追加提案は区域会議を通じて内閣府に行う。構造改革特区の申請は毎年度公募され、内閣府が審査・認定を行う。認定後は特区計画に記載した事業を実施し、内閣府へ実績報告を提出する。特例措置の内容は認定ごとに異なるため、適用される規制の特例条文と通常規制の差異を担当者が正確に把握した上で事業者へ説明することが重要である。
規制緩和の成果と課題
構造改革特区での実績が蓄積されると、特例措置が全国展開(一般法改正)に発展した例がある(例:農業生産法人への一般法人参入の条件緩和、特区で先行的に導入)。一方で、特区制度の複雑さ・制度運営コスト・規制緩和の対象外部門への波及の限界といった課題も指摘される。自治体として特区活用を検討する場合は、規制所管省庁との非公式の事前相談を活用して申請の実現可能性を見極めることが実務上の出発点となる。
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