生物多様性とは、生物種・生態系・遺伝子の3つのレベルにおける多様性の総体であり、生物多様性基本法(平成20年法律第58号)が保全の基本理念を定める概念である。
生物多様性条約(1992年採択、日本は1993年批准)が示す3つの多様性——種の多様性・生態系の多様性・遺伝子の多様性——を保全し持続可能な形で利用することが、生物多様性基本法(平成20年法律第58号)の基本目的である。同法第13条は都道府県・市町村に対し、地域の自然的社会的条件に応じた生物多様性地域戦略の策定を努力義務として定めており、令和4年度以降、環境省が策定支援ツールの提供と財政支援を強化している。「昆明・モントリオール生物多様性枠組」(2022年COP15採択)では2030年までに陸域・海域の30%以上を保護する「30by30目標」が設定され、自治体の里山・里地・水辺等をOECM(自然共生サイト)として認定する制度が令和4年度に開始された。自治体の実務では、公園・緑地の生態系配慮型管理・外来種対策・希少種保護区の指定・生態系ネットワークの形成が主要な施策分野となる。外来種対策については外来生物法(特定外来生物による生態系等に係る被害の防止に関する法律、平成16年法律第78号)に基づく捕獲・防除の実施主体として市区町村が機能する場面も多い。
生物多様性地域戦略の策定と活用
生物多様性地域戦略は環境基本計画の下位計画として位置付けるか、または独立した計画として策定する。策定作業では生息確認種リストの整備・重要生息地のマッピング・地域の生物多様性ポテンシャルの評価が出発点となる。環境省が提供する「いきものログ」等のデータベースや市民科学データを活用することで低コストでの現況把握が可能である。里山保全・農業水路の多自然化・校庭の芝生化・屋上緑化等の施策を計画に盛り込み、自治会・農業者・企業との協働の枠組みを整備する。
OECM認定と自治体の役割
自然共生サイト(OECM)として環境省に認定されると、保護地域の外にある民有地・公有地でも30by30目標の達成に貢献していることが国際的に認められる。認定申請には生態系の現況調査データと管理計画書の提出が必要であり、市区町村が土地所有者・管理者と連携して申請を支援する仕組みが広がっている。認定後も5年ごとの更新審査があるため、継続的なモニタリングと管理記録の整備が求められる。
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