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ジチテン

支払督促

読み:しはらいとくそく

意味

支払督促とは、金銭その他の代替物の給付請求について、債権者の申立てにより簡易裁判所の裁判所書記官が、債務者の言い分を聴かずに支払いを命じる略式の手続である(民事訴訟法第382条以下)。債務者が督促異議を述べなければ、仮執行宣言を経て判決を得ずに強制執行へ進むことができる。

数十万円の滞納債権のために訴訟を起こせば、回収できる額より先に手間と費用がかさむ。だからこそ、書類審査だけで強制執行の入口まで届くこの手続が、自治体の債権回収の主力になる。手数料は訴訟の半額で、少額訴訟と違って請求額の上限もない。公営住宅使用料水道料金、奨学金や福祉資金の貸付金のように、地方税と違って自力執行(滞納処分)が許されない私債権・非強制徴収公債権は、裁判所の手続で債務名義を取らなければ差押えに進めないため、督促状を重ねても払わない滞納者への次の一手がこれになる。流れは単純で、簡易裁判所の裁判所書記官に申立て、送達から2週間以内に債務者の督促異議がなければ仮執行宣言を申し立て、強制執行へ移る。ただし異議が一度出れば通常訴訟に移行するので、支払義務そのものを争われそうな債権には不向きであり、所在不明の債務者には公示送達が使えないため申立て自体ができない。どの債権にこの手続を選ぶかの見極めが、債権管理の事務量と回収率を左右する。

書類審査だけで強制執行まで——流れと失効の罠

申立先は債務者の普通裁判籍の所在地を管轄する簡易裁判所の裁判所書記官で(民事訴訟法第383条)、書記官は債務者を審尋せずに発付する(第386条)。支払督促が送達されてから2週間の督促異議期間を過ぎたら、債権者は30日以内に仮執行宣言を申し立てなければならず、怠ると支払督促そのものが効力を失う(第392条)——複数件を並行管理する債権担当が最も踏みやすい期限の罠である。仮執行宣言付支払督促は強制執行の根拠となる債務名義であり、これにも2週間の異議期間があるが、異議なく確定すると確定判決と同一の効力を持つ(第396条)。申立ては督促手続オンラインシステムによる電子申立てにも対応している。注意すべきは送達の壁で、支払督促は公示送達によることができない(第382条ただし書)ため、居所調査をしても所在のつかめない滞納者にはこの手続は使えず、最初から訴訟を選ぶことになる。

議決は要るか——「訴えの提起」との距離と専決処分の指定

地方自治法第96条第1項第12号は訴えの提起を議会の議決事件とするが、支払督促の申立ては裁判所書記官に対する略式手続の申立てであって訴えの提起に当たらず、議決を要しないと解されてきた。問題は債務者が督促異議を申し立てたときで、民事訴訟法第395条により支払督促の申立時にさかのぼって訴えの提起があったものとみなされ、ここで議決の要否が現実化する。裁判所の手続は議会の会期を待ってくれないため、「支払督促の申立てに対し督促異議が出て訴訟に移行した場合の応訴・追行」をあらかじめ地方自治法第180条第1項の議会の指定に含めておき、長の専決処分で進めて議会に報告する運用が定着している。この指定を欠いたまま異議が出ると、臨時会招集か第179条の専決処分かの判断を迫られる。支払督促を債権回収の標準ルートに据えるなら、180条指定の整備が事実上の前提になる。

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