差押とは、滞納処分として、自治体が地方税法および国税徴収法の例により、滞納者の財産について処分を法律上禁止し、徴収の対象として確保する行為である。
督促をしてもなお税が納付されない場合に、自治体は裁判所の手続を経ることなく、自らの権限で滞納者の財産を差し押さえることができる。これは私人間の債権回収が原則として裁判と強制執行を要するのと大きく異なり、自治体の徴収権に認められた強い特権である。差押の対象は、不動産・債権・動産・自動車など金銭的価値のある財産全般に及ぶが、生活に最低限必要な財産は差押禁止財産として除外される。差押によって滞納者は当該財産を売却・譲渡できなくなり、その後の換価・配当へと滞納処分が進む。財産を確保する効力と同時に、納付を促す事実上の圧力としても機能する。
滞納処分における位置づけ
差押は、滞納処分の最初の処分行為であり、その後の換価・配当の前提となる手続である。地方税の徴収は、納期限までに納付がない場合にまず督促を行い、督促状を発した日から一定期間を経過してもなお完納されないとき、財産の差押へと進む。差押の根拠と手続は、地方税法が国税徴収法の例によることとしているため、国税の滞納処分と基本的に同じ枠組みで行われる。自治体が裁判所の判決や執行文を要せずに差押に着手できるのは、自力執行権と呼ばれる徴収機関固有の権限による。差し押さえた財産は、原則として公売などにより金銭に換える換価の手続を経て、滞納税に充てられる。
対象財産と差押禁止財産
差押の対象となる財産は、不動産、預金や給与・売掛金などの債権、自動車、動産、有価証券など、金銭的価値があり換価が可能なもの全般に及ぶ。一方で、滞納者やその家族の最低限の生活を維持するために必要な財産は、差押禁止財産として法律上差押えが禁じられている。たとえば、生活に欠くことのできない衣服・寝具・家具、一定期間の食料・燃料、給与や年金のうち生活維持に必要な部分などがこれにあたる。給与や年金については、その全額ではなく、法律が定める計算式により生活費相当額を超える部分のみが差押可能とされる。差押禁止の範囲を誤ると違法な滞納処分となるため、自治体の徴収担当は対象財産の選定にあたって財産調査と禁止範囲の判断を慎重に行う。
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